初年次ゼミナール理科 31515 月 4 授業の目標・概要 自分が赤いりんごを見ているときに主観的に感じる「赤」と、他人が主観的に感じる「赤」は果たして同じなのだろうか?皆さんも、このような疑問をもったことがあるかもしれない。従来、このような人間の主観の質(クオリア)に関わる問題は、客観的な科学的方法論をもって答えることは不可能ではないかと考えられてきた。主観の質に関する難問に対して科学的にアプローチする有力な方法の一つは、関係性に着目することである。つまり、赤の質を赤単独で特徴づけるのではなく、他のものとの関係性によって特徴づけるという方法論である。例えば、「赤」は「ピンク」に似ていて、「青」とは似ていないという類似度を答えることは比較的容易である。このような関係性は実験的に定量化可能であり、仮にこうした関係性の構造がAさんとBさんという異なる人の間で共通であることが分かれば、AさんとBさんが感じている「赤」の質は関係性の意味からは同じということが言えるであろう。 本講義ではこのような関係性の構造が個人間でどれくらい似ているのか、あるいは似ていないのかを調べることを目標とする。その目標に対して、関係性の構造を定量化する心理実験の方法と、構造同士を個人間で比較する数理的な方法論を学ぶ。心理実験は受講者自身が被験者となって行い、そこで得られた実験データを解析する。データ解析に必要な技術として、まずプログラミング技術とデータ分析の初歩を学ぶ。その後、関係性の構造を比較するのに必要な数理として特に、最適輸送と呼ばれる数学を学ぶ。最終的には、実際の実験データを講義で学んだ解析方法や、自分で考えた方法で解析し、解析結果を報告することが目標となる。 講義の目標は以下である。 1.関係性の構造を定量化する心理物理実験の方法を学ぶ。 2.受講者自身が心理物理実験の被験者となり、実験を体験する。 3.データ解析のための基礎的なプログラミング技術と分析方法を学ぶ。 4.最適輸送をはじめとした、構造同士の比較を行う数理的方法を学ぶ。 5.実際の実験データを用いてデータ解析を行い、個人間で関係性の構造がどれくらい違うのかを調べる。 6.解析した内容をまとめて発表する。 初年次ゼミナール理科の評価方法によって評価します。 成績評価方法 授業のキーワード 授業のタイプ(実験データ解析型)、関係性の構造、心理物理実験、意識の質(クオリア)、プログラミング、データ分析,最適輸送 次の教科書を使用する。/Will use the following textbook 書名 著者(訳者) 東京大学教養教育高度化機構 Educational Transformation 部門・若杉桂輔・宮島 謙編 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 教科書 ガイダンス 31546 月 4 授業の目標・概要 ワイヤレス通信システムは過去30年間にわたって10年ごとに10~100倍の性能向上が実現されており、今や重要な社会基盤となっている。今後はサイバーフィジカルシステムのための通信基盤としてさらなる高度化が求められている.一方,基本的な通信資源である周波数帯域は限られており,これまでと同様の高性能化は困難となりつつある.したがって,次世代システムにはブレイクスルーとなる要素技術が不可欠であり、世界中で鋭意研究が行われている。 この授業では,ワイヤレス通信を対象とした基本的な講義,最新技術についての英語文献調査、ディスカッションを通じて,基礎知識,課題,次世代システムの要素技術について学んでもらう.また,MATLABによるプログラミング・数値シミュレーション演習を通じて,基本的なワイヤレス通信モデルへの理解を深めてもらう. ・ワイヤレス通信の基礎を理解し、基本知識を習得する. ・グループワークを通じて協働して課題に取り組む能力を身につける. ・調査内容を整理,正しく解釈して他者に分かりやすく伝える. 出席,演習の理解度,発表など総合して行う. 成績評価方法 授業のキーワード ワイヤレス通信、6G、数値シミュレーション、文献調査 教科書 ガイダンス 教科書は使用しない。/Will not use textbook 書名 著者(訳者) 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 わたしの「赤」とあなたの「赤」は同じ? 主観の質に迫る実験と数理 次世代ワイヤレス通信ゼミ 科学の技法 第2版:東京大学「初年次ゼミナール理科」テキスト 東京大学出版会 大泉 匡史 杉浦 慎哉 物理 生産技術研究所
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