大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 イーロン・マスク氏が運営する宇宙企業スペースXによる宇宙船の打ち上げ実験に、(様々な意味で)心を揺さぶられている者も多いだろう。本授業では、台頭する宇宙植民(space colonization/settlement)の可能性やあり方、あるいはその危険性について考えると同時に、それを歴史的に捉えるペースペクティヴの獲得を目指す。具体的には、宇宙植民を、近代において「排除の論理」を駆使しながら移住・開拓を行ってきた入植者植民地主義(settler colonialism)の思想・実践から捉えることを目的とする。「無主地」や「フロンティア」、「荒野」といった言説に基づく入植者植民地主義は、宇宙植民へそのまま引き継がれるのだろうか。そこにはいかなる連続性と断絶が見出されるのだろうか。 授業では、本テーマに深く関連する文献を読み進め、その過程で論文やレポートを書く上での「問い」の設定の仕方や論述の組み立て方、自らの主張を根拠づける方法などを学ぶ(あるいはその感覚を得る)。最終的には、これら文献を読み進めるなかで自身が展開したい具体的なトピックを見つけ、それにそ即して小論文を執筆する。 なおこのテーマに関しては適当な日本語文献が少ないこともあり、文献講読においては英語記事や論文もいくつか組み込む予定である。その意味では、英語論文を読んでみようとする意欲のある学生の受講を期待したい(「能力がある」とは言っていない。それは後でついてきますので。) 【学術分野】 法・政治、社会・社会思想史、国際関係、歴史学 【授業形態】 文献批評型 出席、報告および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 宇宙植民と入植者植民地主義:科学、思想、初年次ゼミナール文科 31662 金 4 授業の目標・概要 【共通目標】 成績評価方法 授業のキーワード 宇宙植民、入植者植民地主義、フロンティア、科学、思想史 教科書 ガイダンス 教科書は使用しない。/Will not use textbook 書名 著者(訳者) 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 歴史 馬路 智仁 社会・社会思想史
元のページ ../index.html#65