大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 この授業では、認知、感情、心、言語に関する問題に関する現代の学術的な文献(もしくは古典的な文献)の読解を通して、これらの問題を哲学的・理論的に議論する能力を身に着けることを目標としている。この授業で取り上げられる問いは、例えば以下のようなものである。 ・何かを知覚するとはどのようなことなのだろうか。 ・身体のあり方は、知覚にどのような影響を与えているのだろうか。 ・認知や感情の機能を進化論的・生物学的に説明することは可能だろうか。 ・心と脳はどのような関係にあるのだろうか。 ・人工知能と人間の知能はどのような関係にあるのだろうか。 ・不安な感情はなぜ存在するのだろうか。 ・「幻覚」・「妄想」とは何だろうか。 ・心が「健康」であるとはどのような状態なのだろうか。 ・他者の心を知ることはできるのだろうか。 ・現実とフィクションの境界はどこにあるのだろうか。 ・コミュニケーションにはどのような類型があるのだろうか。 ・差別は言語によって生じるものなのだろうか。 履修者は上記の問いから自分の関心にあった問いを選択するか、認知、感情、心、言語に関する問いを自ら考え、その問いに関連する哲学的・理論的な文献(日本語もしくは英語文献)を探し、文献に基づいた発表を行う。他の履修者および担当教員からフィードバックを受け、発表内容を小論文にまとめていく。 発表の材料とする文献は、必ずしも哲学的な文献でなくてもよいが(認知科学、心理学、言語学、精神医学等の文献でもよい)、発表・小論文は、哲学的・理論的な視点からまとめることが求められる。この場合の「哲学的・理論的」とは、必ずしも何らかの哲学的な理論に基づくことを意味するものではなく、材料とした文献のサーベイから自分なりの結論や提案を導出したり、文献の前提、議論構造、方法論などの可否を論じたりすることを想定している。もちろん哲学者の文献や哲学的な理論に依拠して特定のテーマを論じてもよい。 【学術分野】哲学・科学史 【授業形態】ディシプリン型 文献批評型 出席、報告および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 初年次ゼミナール文科 31656 金 3 授業の目標・概要 【共通目標】 成績評価方法 授業のキーワード 認知、感情、心、心理学・精神医学(への批判)、言語 教科書 ガイダンス 教科書は使用しない。/Will not use textbook 書名 著者(訳者) 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 認知・感情・心・言語の哲学 石原 孝二 哲学・科学史
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