1年 文科 理科 S 2年 文科 理科 ■全学体験ゼミナールを履修する場合は、必ずUTASでシラバスを参照し、本冊子には掲載されていない詳細な授業内容等を確認したうえで、履修登録を行ってください。 【注意】この授業は開講日程の都合上、成績が所定の確認日より後に公開される見込みが高いので留意すること。特に2年生は本科目の成績が進学選択が可能となる条件に含まれない見込が高いので、履修にあたっては十分に注意すること。 ◆この授業の概要 様々な現場に赴き、そこに生きる方々の声に耳を傾け、風景からその奥にあるものを読み取り、あるいは目に見えない歴史的蓄積をさぐります。さらにその内容を研究成果とすべく学会報告や査読論文としてまとめることを目指します。 具体的には以下のプロセスを取ります。 ・参加者同士でのフィールドワークプログラムのプランニング ・フィールドについての文献やインタビュー等を活用した事前調査 ・プログラムの実施 ・リフレクション この流れを繰り返し、フィールドに入り込み、情報を読み取り、知識を得るトレーニングをします。その上で、学会報告or査読論文投稿を目指します。 具体的なフィールド選定の部分から受講者の関心を踏まえて検討します。 キーワードとしては、都市・地方/政治・行政/災害・有事/メディア・ジャーナリズム/コミュニティ・組織/貧困・格差/グローバリゼーション・エスニシティ。これらに関する問題を捉え直す機会になるようにフィールド選定・プログラム設計を行います。無論、これは大学の授業であり「教育の場」ですので、物理的・非物理的に安全が保たれる範囲でプログラムは実施されることが前提になります。 なお、昨年度は以下のようなフィールドワークを実施しました。いずれも学部1・2年生が関わっての学会報告や査読論文投稿の実績につながりました。 ・北海道ホタテ生産加工現場フィールドワーク:中国による日本産水産物禁輸措置の打撃を最も受けた北海道ホタテの現状を知るために自動車でオホーツクと噴火湾とを5日間フィールドワーク ・蔵前クラフトカルチャーフィールドワーク:関東大震災の被災の中心地であり、東工大や東京電力やかつては国技館(いまの両国国技館)があったエリアである蔵前。江戸時代は全国のコメがあつまり札差たちが取引を行う金融エリアでもあった。ここにいま再生し、新たに芽吹き出した「クラフト」の産業と文化の集積とを調査 ・福島フィールドワーク:福島第一原発事故で全域が避難指示の対象となりかつては「死の町」とも形容された地域で、夏休み期間中に3回にわけてのべ10日間徹底的に住民の話をきき、課題と可能性を明らかにした ◆そもそもここでいうフィールドワークって? 人文・社会科学的フィールドワークを指します。 文系・理系問わず、フィールドワークは様々な学問で用いられる手法です。部屋に閉じこもって本を読んだり実験したりするのも重要な研究方法ですが、何らかの現場に出るフィールドワークでしか得られないこともあります。フィールドワークという概念は多義的で領域や人によって定義もまちまちです。何らかのフィールドに出ればそれで「フィールドワーク」だというスタンスもあり得るし、もっと厳密に学術的なフィールドワークはかくあるべきでそこから外れるものは認めないというスタンスもありえます。 この授業でいうフィールドワークは、2つの方向性において、他とは区別されると考えています。一つは人文・社会科学的フィールドワークであること。山に入って動植物の生態系をみるような自然科学的なフィールドワークではなく、人や社会を対象とします。人や社会を対象としたフィールドワークは、社会学や人類学・民俗学等で行われてきましたがそのようなものが人文・社会科学的フィールドワークです。もう一つは、単に「現場にいって面白かったです」という話では終わらせない、フィールドスタディとしての要素が必須だということです。フィールドにいくことは、その現場から得られる以上のことを得るための一連の学習のプロセスの一部分であり、また研究でもあるということです。学習であり研究であるフィールドワークを通して、頭と手足との全てを回しながら現代社会を捉え直すトレーニングの機会を提供します。 ◆何が学べる? フィールドワークの技法を学べます。そのための実践的なトレーニングができます。これは研究をしないとしても、ビジネス・政治行政・NPO等々の世界においても、一生役立つ経験とスキルになります。 ・必要な事実を把握し、論理的かつ俯瞰的に考え、意図を他者にわかりやすく伝え、何かを教えてもらったり、協力してもらったりする ・だれかと仲良くなり信頼関係をつくり、あるいは交渉や互いを高めるための良い競争をする ・普通の人がアクセスできないところに踏み込み情報・知識を得るルートをつくり、あるいはそのルートを短時間で見つける ・意図せざるコンフリクトやあからさまに悪意ある妨害・嫌がらせ等にあっても目的に向けて淡々とトラブルシューティングしていく あえて言葉にするならば、そういったスキルが、フィールドワークの中で身につきます。(文科省的に言うと「生きる力」であり「主体的・対話的に深く考える探究力」がつきます。) なお、フィールドワークの教科書的な書籍や論文は調べればいくらでも出てきます。そういったものを読むことも有意義ではありますが、残念ながら水泳やスキーをしたり自転車に乗ったりするのと同様で、実際にやってみないことには本当に必要な技術は何も身につきません。もちろん、スポーツやなんらかの芸・術と同様に、一定の技術を身に着けた後に理論的に細部を洗練させるのに知識面のインプットをするのは大切です。書籍・論文のみならず動画等も容易にアクセスできる時代ですから、そういうのも活かすべく自主的に研鑽をつむのも良いです。 ※ガイダンスは担当教員の他のSセメ開講科目の内容とあわせてオンラインにて実施します。 4月1日までに以下のURLに動画をアップロードしますのでご参照ください。 https://docs.google.com/document/d/17nG-3b_xIVgmlc 以下の割合で評価します。 ▼授業参加 100% 毎回、何らかのアウトプットが求められることになるので、欠席すれば自動的に点数は減ることになります。 ただし、コロナ感染等明確な欠席理由があり、出席の代替措置を希望する場合は、都度事前にメールにてご相談ください。 教科書は使用しない。/Will not use textbook 第一回授業日に行う。/Will conduct guidance at first time 時間割コード 全学体験ゼミナール 31669 授業の目標概要 成績評価方法 教科書 ガイダンス 開講 フィールドワーク入門:現代社講義題目 会を歩く 担当教員 開沼 博 所属 曜限 単位 集中 情報学環 2 対象
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