2025Sシラバス
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1年 文科 理科 木 5 S 2年 文科 理科 授業の目標概要 「ボーカロイド音楽論」を、稲見を代表教員とし鮎川ぱて氏によるリードで開講します。 本講義は、現代日本の音楽状況の中でもっとも重要な存在感を示す「ボーカロイド(ボカロ)」を用いた音楽群の分析を通して、音楽自体の本質に迫ろうというものです。「アンチ・セクシュアル」というキーワードが、講義のひとつの軸になっていきます。 最初に「ボーカロイド音楽シーンの中で人気を博したのが、ラブソング群ではなかった」という事実に注目します。かつて音楽評論家の湯川れい子さんは「人間は、思春期を迎えるとラブソングを求めるようになる生き物なんです」と語りました。果たしてそうでしょうか。ボカロシーンでは、恋愛などの通念を自明とはしない感性を持った曲ーーアンチ・ラブソングが人気を集めました(ex.「ラブという得体の知れないもの」)。人によっては厨二病的とも言うその感性の内と外を、フランスの人文学者ミシェル・フーコーの議論を参照しながら考えていくところから講義はスタートします。 講義全体の1/3以上を、ジェンダー/セクシュアリティの議論が占めることになります。フェミニズム、LGBTQをはじめとする性の多様性理解、クィア理論など、ジェンダー論の基礎を知ることはもちろん、それらが先端工学と関わった先にある、新しい身体論(身体情報学)を考えることにも、本講義は役立つはずです。 主なアプローチ手法は、記号論、ジェンダー論、精神分析ですが、駒場と言えば、リベラルアーツ。前記の人文科学的手法に留まらない領域横断的な分析を試みます。 ボカロは老若男女、すべての人を受け入れるシーンですが、その上で、やはり主役は、若いみなさんだと思っています。みなさんが当事者として立ち会い、そしていまだ深度のある議論が少ないボカロカルチャーこそは、そのような批評の対象とするに最適です。 ボカロ、表現、科学、ジェンダー。これらのうちどれかひとつにでも高い関心を持っていれば、どの立場の人も主役です。ボーカロイド音楽についての前提知識は必要ありません。科類も問いません。「感覚を思考の俎上に載せること」を恐れないあなたの参加をお待ちしています。<鮎川ぱてプロフィール>ボカロP/音楽評論家/東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程(身体情報学分野 稲見・門内研究室)/東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科 非常勤講師/16~23年度 東京大学教養学部非常勤講師として「ボーカロイド音楽論」を開講 出席および、中間提出物と学期末レポートなどで評価する。 次の教科書を使用する。/Will use the following textbook鮎川ぱて東京大学「ボーカロイド音楽論」講義文藝春秋4163913629 第一回授業日に行う。/Will conduct guidance at first time 時間割コード 全学自由研究ゼミナール 31792 成績評価方法 教科書 ガイダンス 開講 ボーカロイド音楽論 講義題目 担当教員 先端科学技術研究セ稲見 昌彦 所属 ンター 曜限 単位 対象 2

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