1年 文科 理科 金 5 S 2年 文科 理科 2024年、東京大学教養学部は、第一高等学校の前身である東京英語学校の設立からちょうど150年を迎えた。1949年に新制東京大学のもとで教養学部が設置される前から、「教養」ということばは、一高に象徴される知的エリートへのあこがれのみならず、つねに批判を伴いながら、日本の社会に広く根づき、戦後になると、各大学に教養課程が設置され、日本の高等教育の風景を長らくかたどってきた。1990年代以降、その風景は大きく変わり、もはや大学における教養教育の共通像は消え去り、一方で、教養の学問を独自の思想で掲げる大学や学部が個性を放っている。東京大学もその一つだ。学部教育の最初の2年間をすべての学生が教養学部で過ごすという東京大学のモデルは世界的にもユニークであり、したがって、教養教育は東京大学が独自の価値をグローバルにアピールできる最大の特徴の一つとなっている。 しかし、教養とは結局、何を指すのだろうか。そして、なぜ東京大学では教養をかくも重視するのだろうか。東京大学は、教養の理想を高く掲げることによって、どのように広く社会の発展に寄与しようとしているのだろうか。とりわけ、東大の中で教養の学問を専ら営む教養学部は、いかにして社会からの付託に応えようとしているのだろうか。 複雑さと不安定さが増す今日の人類社会——「VUCA」の時代——において、学問の貢献は益々重要になってきている。そのことは同時に、教養に対する社会からの呼び声が高まっていることを意味している。教養はいま、社会を変革するための智慧として希求されているのだ。産業界でも教養とリベラルアーツに対する渇望が日増しに高まっている。では、わたしたちが教養学部で日々行っている学問は、こうした社会からの求めに答え得ているだろうか。社会的有用性の追求は学問の独立を損なうという意見もあるだろう。もし仮にそうであるとしても、敢えて無用性に甘んじること自体の意義と価値を主張する必要から逃れることはもはや不可能だろう。 教養概念の一つの解釈は「リベラルアーツ」である。中世ヨーロッパの「自由七科」までもどらずとも、アメリカのリベラルアーツ・カレッジのように、それはつとに確固たる地位を確立している。東アジア諸大学においても、21世紀に入って以来リベラルアーツ学部が新たに設置され、その多くが大いに活況を呈している。教養には社会的効用のポテンシャルが多分に孕まれているだけではなく、その価値は広く社会に認知されている。これは揺るぎない現実だ。にもかかわらず、人々が求める教養には無数に異なったイメージがある。それはまるで、一人ひとりの人がみなそれぞれに異なった人生の道を歩くことを望んでいるのと同じだ。教養とは、人がより人らしく変化していくプロセスそのものであり、そうした変化をよりよく促すための智慧の技法なのだ。社会が人によって成り立っているかぎり、社会をよりよい方向に変えていくには、よりよき教養が不可欠である。そしてそうであるなら、あるべき教養の姿はまた、社会の変化に応じて自ら変わることを求めるはずだ。教養を変えていくのもまた教養のなせるわざであろうし、そうでなければ、わたしたちは自らの力で自らを変化させていくことを成しえないだろう。 「変わる教養、変える教養」——。わたしたちは、今日の時代と社会条件の下で、いかなる教養を望むべきだろうか。そのために、いまある教養をどのように変えていくべきだろうか。この講義では、こうした問いを受講者の皆さんと共に考え抜きたい。それは、未来に向かってどのような社会を望み、いまある社会をどのように変えていくべきかを考えることとほぼ同義である。 この講義を、「30年後の世界」に向かって、新しい時代の、新しい人の教養を共に鍛える場にしたいと願う。 リアクションペーパーの提出 教科書は使用しない。/Will not use textbook 第一回授業日に行う。/Will conduct guidance at first time 1年 文科 理科 2年 文科 理科 授業の目標概要 どうすれば、3000人の新入生から科類を超えた最高の仲間を作れるのか?UT-ONEは、1年生3000人全員で同時進行を目指す超大規模なプロジェクト実践型講義の入門編です。2023年度は全体の約12%の370人の1年生が履修し単位を取得、駒場で最大の主題科目となりました。コンセプトは「仲間と出会い、企業を知り、自分を知る」興味がある企業に科類を超えた仲間と共に訪問し、その感想を共有しあうことでお互いの感じ方の違いから自分の興味を自分自身でより深く理解できるようになります。S1では興味のある企業への訪問を、S2では企業が出したテーマに対する提案を、同じ企業を選んだ1年生と共に行います。S1,S2の両方を受講すれば主題科目に必要な2単位が取得できます。駒場では珍しいグループワーク中心の講義なので「こんなことをやってみたいんだけど、一緒にやらない?」と誘い合える仲間を作る機会にもなります。S1:企業訪問 大企業・スタートアップ・個人事業主の3種のリストから話を聞いてみたい1社を選び、 マッチングした仲間とランチしつつ日程調整や質問項目を整理し、企業担当者とやり取りして 平日夕方などに企業を訪問して60~90分お話を伺い、オンライン共有会に参加して ランダムに作った3人組でお互いの企業訪問を共有し、フォームを提出することで単位取得S2:企業提案 企業が出したテーマのリストから提案してみたい1社を選び、マッチングした仲間と ランチしつつブレストでアイデアを考えて企業担当者に提案し、オンライン共有会に参加して ランダムに作った3人組で互いの企業提案を共有し、フォームを提出することで単位取得より多くの人が参加しやすいよう、毎週配布される資料をスマホで見つつ、マッチングした1年生同士でSlackでチャットしたりランチ相談会をしながら進めていけるようデザインされていますので、気軽にご参加ください。 ------------------------------------------------------------ ※このゼミは4月8日(火)6限(18:45~)Zoomで行われる工学部合同説明会への参加を予定しています。ZoomのURLは後日UTAS掲示板のお知らせにて周知いたします。 ------------------------------------------------------------ 1)UT-ONEのSlackへの参加、2)企業への訪問(S1)ないし提案(S2)の実施、3)オンライン共有会への参加、4)感想フォームの提出 の4つで総合的に判断します。 教科書は使用しない。/Will not use textbook 特定日に行う。/Will conduct guidance at another time 時間割コード 時間割コード 30年後の世界へ——変わる教UT-ONE(1年生全員向けの学術フロンティア講義 31773 授業の目標概要 成績評価方法 教科書 ガイダンス 31686 S1 成績評価方法 教科書 ガイダンス 開講 養、変える教養 開講 仲間づくり&企業訪問:S1) 講義題目 講義題目 担当教員 石井 剛、 野澤 俊太郎 担当教員 長藤 圭介、 杉上 雄紀 所属 教養学部 所属 工学部 曜限 単位 対象 曜限 単位 対象 集中 2 1
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