2025Sシラバス
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初年次ゼミナール理科 31587 金 3 授業の目標・概要 現在、地球の環境は大規模かつ急激に変化しています。例えば、地球の年平均気温については、工業化前からの上昇幅が、2024年に初めて1.5℃を超えたことが報告されました。変化しているのは気温だけでなく、海氷減少、氷河・氷床の縮小、海面上昇、海洋酸性化、海洋貧酸素化、異常気象、海洋熱波など多岐の要素にわたり、人間社会や生態系に大きな影響をもたらすことが懸念されています。いうまでもなく、環境問題は、数学・統計学、工学、人文社会科学、政治経済学、医学・保健科学、倫理など、様々な分野との連携が必要な総合的な課題ですが、自然科学がその根幹をなす基礎情報を提供します。 本ゼミナールでは、地球環境に関連する話題の理学的側面に注目し、掘り下げて考える機会を提供します。大気海洋研究所に所属する、気候変動を専門とする教員(吉森正和)と化石に残る海洋プランクトン(有孔虫)を専門とする教員(高木悠花)が担当します。前半では、地球規模の気候変動に関する幾つかのテーマについて、物理学的な視点から現象を正しく把握し、その現象が生じるメカニズムを理解するための過程を学びます。後半では、過去の地球環境を知るツールとしての有孔虫の利用について学習し、古水温復元の実践をするとともに、現在の地球環境変動に海洋生物がどう応答しているかを学びます。「能動的」な学びの過程を通じて、学生に「研究」の初歩を体験してもらうとともに、地球環境に関連する自然の真理や不思議を理学として研究する意義や過程、楽しさを知ってもらうことを目指します。専門的な予備知識は特に必要なく、地学や生物学を学んだことのない学生の履修も歓迎します。 初年次ゼミナール理科の評価方法によって評価します。 成績評価方法 授業のキーワード 気候変動、地球温暖化、古水温復元、物理学・地学・生物学、議論・文献調査・発表 教科書 ガイダンス 授業中に指示をする。/Will specify at class time 書名 著者(訳者) 東京大学教養教育高度化機構 Educational Transformation 部門・若杉桂輔・宮島 謙編 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 31592 金 3 授業の目標・概要 皆さんは公正なサイコロの目の期待値が3.5であることを知っているでしょう。これは「1から6までの出る目の確率が全て1/6である」ことから従います。もし、このことを知らなくても、実際にサイコロを何度も投げて、出た目の平均値を計算すれば、真値3.5を近似的に求めることができます。このように「でたらめ」な試行を繰り返すことによって、何かしらの値や法則を見積もる方法のことをモンテカルロ法と呼び、様々な科学技術分野で用いられています。 本ゼミナールでは、モンテカルロ法をアルゴリズムとして計算機上で実行するために必要な科学(数学・統計学)とその応用について扱います。具体的には、 ・「でたらめ」をどう生み出すか、 ・「でたらめ」であることをどう評価するか、 ・「でたらめ」より良い方法はあるのか、 といった点について、「でたらめ」に関連した内容の論文読解(前半)とプログラミングによる演習・グループワーク(後半)を通じて理解を深めてもらうことを目標とします。 グループワークへの取り組みによって評価します。 成績評価方法 授業のキーワード でらため、乱数、確率・統計、モンテカルロ法、超一様性 教科書 ガイダンス 授業中に指示をする。/Will specify at class time 書名 著者(訳者) 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 地球環境を理学する 「でたらめ」の科学 科学の技法 第2版:東京大学「初年次ゼミナール理科」テキスト 東京大学出版会 吉森 正和、高木 悠花 合田 隆 大気海洋研究所 工学部

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