2025Sシラバス
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初年次ゼミナール理科 31575 水 2 授業の目標・概要 高校における微分や積分の単元では,まず極限の概念を学びます.その際の極限の定義は,「限りなく近づく時」といったやや曖昧なものです.ニュートンやライプニッツが微積分学を創始した際も極限の扱いはそのようなものでしたが,その曖昧さ故に間違った結論を導いてしまうこともありました.19世紀に入るとこれらを克服するためにより厳密に極限や実数の概念を定義する試みがなされ,長い議論の末に最終的に「ε-δ(イプシロン-デルタ)論法」という形で極限の定義がなされました.19世紀中頃に生み出されたε-δ論法は,その後の数学の発展において他の概念に上書きされるものもなく生き残ってきたタフな概念で,今なお微積分学(解析学)の基礎として大学で学びます. このε-δ論法はすでに述べたとおり現代の解析学には必須な概念です.しかし,一方で特に学び立ての初学者に対しては悪名高い概念でもあります.その理由として,定義が込み入っていて一見してわかりにくいからであると思われます.本講義の目標は,グループワークを通してこのε-δ論法を深く学び,理解することです.また,ε-δ論法だけでなく,「デデキントの切断」,および発展的な内容として「p進数」を扱います.デデキントの切断は,ε-δと同じく解析学を厳密に再構築する努力の上で生まれた概念であり,実数の厳密な定義を与えるものです.p進数は整数論的な問題に端を発して考えられた,実数とは異なる別の「数」の概念です. 本講義では,まず全体を小さなグループに分け,上で述べた三つのテーマの一つを深く掘り下げていき,最終的に班で一つの短い「講義」を作ることを行います.このような体験を通じて,テーマへの理解を深めるほか,文献・資料の収集法,グループによる共同学習の手法などについても習得することも目標とします. 初年次ゼミナール理科の評価方法によって評価します。 成績評価方法 授業のキーワード 原理解明・伝達型、数学/解析学、実数、デデキントの切断、イプシロン-デルタ論法、p進数 教科書 ガイダンス 次の教科書を使用する。/Will use the following textbook 書名 著者(訳者) 東京大学教養教育高度化機構 Educational Transformation 部門・若杉桂輔・宮島 謙編 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 31576 水 2 授業の目標・概要 飛行機や宇宙機が重力に反して高速で飛行するためには,機体重量や強度,推進性能などが厳しく要求されます.よって,限界近くまで無駄を無くすのに加え,様々な制約条件に対して最適化を行う必要があります.すなわち航空宇宙構造物には多くの物理や工学が融合し,その開発には流体力学,制御工学,推進工学,材料力学,構造力学などを含む総合工学によるアプローチが必要となります.そのため,開発プロジェクトの成功には,それら全体を俯瞰することに加え,様々な要素の役割を考えることも重要であり,最適化された各機能を統合した全体システムを構築する必要があります.このためには,プロジェクト(グループ)内のマネジメント,仕様要求や各要素インターフェースの調整が必須です. 本講義義においては,航空宇宙工学につながるトイプロブレムとして,宇宙機制御実験と航空機翼構造の2テーマに取り組みます.様々な制約条件下においてミッション(課題)を設定し,計画策定,スケジューリング,基本設計,詳細設計,試験(実践・計測),結果検証,改善案の考察を行います.グループワークとして課題に取り組み,役割分担,課題解決に向けた背景にある物理現象の調査,課題抽出,コンセプトの策定,設計方針に関してディスカッションを行います.各段階で計画や経過についてグループ毎のプレゼンテーションを行い,全体で議論し,よりよいデザインへと改善していくことを目指します. テーマ①:宇宙機制御実験プロジェクト テーマ②:航空機翼構造設計プロジェクト 初年次ゼミナール理科の評価方法によって評価します。 成績評価方法 授業のキーワード ものづくり、工学/航空宇宙工学、最適化、グループワーク、宇宙機制御、構造 教科書 ガイダンス 教科書は使用しない。/Will not use textbook 書名 著者(訳者) 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 31577 水 2 授業の目標・概要 フィールド体験型ゼミナールとして、都市空間の魅力と課題、それらの要因となる要素を理解・分析し、そのことを他者に伝わるように表現する力を養います。 グループワークの成果物、発表にもとづいて評価します。 成績評価方法 授業のキーワード 都市計画、まちづくり、フィールドワーク 教科書 ガイダンス 教科書は使用しない。/Will not use textbook 書名 著者(訳者) 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 科学の技法 第2版:東京大学「初年次ゼミナール理科」テキスト 東京大学出版会 解析学の基礎 未来の航空宇宙システムの検討 駒場キャンパスや周辺のまちを歩き、 その空間について考える 阿部 紀行 五十里 哲、樋口 諒 中島 直人、樋野 公宏 理学部 工学部 工学部

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