デジタル版『渋沢栄一伝記資料』で歴史学の31741 火 4 授業の目標・概要 【共通目標】 大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 今年の7月から1万円札の新たな顔となることなどもあり、ここしばらく渋沢栄一(1840-1931)はちょっとしたブームになっているようだ。渋沢について語るべきことは数多くあるが、歴史学の研究という点でいうと、その生涯に関わる史料の重要部分がデジタル化されている稀有な存在であることを、まず挙げねばなるまい。 この授業の目標は、そのデジタル版『渋沢栄一伝記資料』を活用することにより、歴史学の作法を体験することにある。それにより、本を読んでお勉強する歴史から、史料を読んで考える歴史学への扉を開こうという試みである。 具体的には、デジタル版『渋沢栄一伝記資料』に触れることからはじめ、ほかの史料なども照合していくことで、受講生がそれぞれの研究課題を導いていく。次いで先行研究を探索して参考にしながら、自らの議論を構築し、報告する。さらに報告際に受けた批評に応え、その後の気づきを補いながら、小論文へとまとめる。 『渋沢栄一伝記資料』を取り上げるのは、なんといっても、渋沢栄一という人物の多面性によるところが大きい。実業家として著名な渋沢だが、慈善活動などを通じて、経済以外のさまざまな領域にも関わった。官僚の経験もあり、論語に一家言あるなど、多彩な人物である。そうした人物が残した史料とあなたの関心事がどう歴史研究と切り結ぶのか、この授業で実践してみようではありませんか。 【学術分野】歴史学 【授業形態】ディシプリン型 出席、報告および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 成績評価方法 授業のキーワード 歴史学、史料、史料批判、先行研究、渋沢栄一 教科書 ガイダンス 教科書は使用しない。/Will not use textbook 書名 著者(訳者) 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 扉を開いてみる 山口 輝臣 教養教育高度化機構 初年次ゼミナール文科
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