2024Sシラバス
427/478

時間割コード 31801 授業の目標概要 東京大学スポーツ先端科学連携研究機構=UTSSIにて、2024年度から新たに、「スポーツ自主分析科学研究」をテーマとする全学ゼミを開講します。前期Sセメスターに「スポーツ自主分析科学研究入門」(1単位)を開講し、後期Aセメスターに「スポーツ自主分析科学研究実践」(1単位)を開講する予定です。 担当教員は、総合文化研究科の佐々木一茂、工藤和俊、中澤公孝、物性研究所の秋山英文です。 この全学ゼミは、スポーツを題材に、データ計測・解析・統計処理など科学的ツールを含めた分析を行い、自主的な研究を実践し体得する企画です。運動部などで選手としてスポーツをやっている学生、アナリストとしてデータ分析を行っている学生、その他、同好会・地域クラブ・趣味などでスポーツの上達や分析に興味をもつ一般の学生に、研究を試行してもらうためものです。UTSSIの教員がガイダンスやアドバイスを行います。 大学は、学問の中心たる場所です。「学問」は、人類がこれまでに得てきた知識や方法を、体系的に整理しつて積み上げたものです。「研究」は、先人がまだ答えを得ていない未解決の問題を解き明かす活動です。研究の積み上げにより、学問領域は常に発展しています。現在までに積み上げられた学問を「勉強」「学習」することは重要ですが、単にそれを続けているだけでは、研究にはなりません。研究は、もっと能動的で創造的な活動です。未解明の問題に着目し、深く興味を持ち、解決の手段を自分で見つけ、あるいは新たに創り出し、正解にたどり着く活動が、研究です。 論語の中に、「子曰く、学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)」という一節があります。学習と研究の両者の重要性を説いています。勉強が中心の高校生とは異なり、大学生には研究とその魅力を是非知って欲しいです。 社会人の多くも広義には研究をしています。新しい味を生み出そうとする料理人、新しい販路を開拓しようとする営業職、新製品や新サービスを開発したい技術者など、いくらでも例示できます。東京大学の学生は、既にかなりの勉強や学習を経験し、それらに長けている人も多いです。一方で、研究は殆ど未経験でしょう。大学生が、早く研究に接してその面白さを感じ、学部卒業時には社会や大学院で本格的な研究を開始できるようになって欲しいと、大学教員たちは強く願っています。 スポーツに真剣に取り組む選手たちは、殆ど皆、日々強い意欲を持って、自分の技量向上の糸口を探し、課題克服の試行錯誤を重ね、上達に努めています。いわば、自分自身の技量能力向上をテーマにした研究をしているわけです。研究は、一見、難しいもののようにも感じますが、実は、スポーツ選手にとっては身近な活動です。指導者・先輩・教本などに習うのが勉強や学習であり、自分で考えて試行錯誤を繰り返して上達の道を切り拓くのが研究でしょう。 研究においては、対象となるテーマに強い興味・好奇心など動機を持つことが重要なポイントです。「三度の飯より××が好き」という表現がありますが、××は野球、サッカー、ゴルフなどかもしれません。スポーツ選手やスポーツ好きな人は、既に、研究テーマに恵まれているのです。あとは、研究のスキルを身に着ければ、面白い有意義な研究ができ、自分の上達も達成できるのではないかと思います。 大学で学問として行う研究では、論理性や客観性が重要で、「科学」のアプローチを用います。この全学ゼミでも、各人が興味をもつスポーツのテーマに対して、計測、データ、統計、分析、計算、シミュレーション、数学、物理など、様々な学問の科学的な知識や方法を活用して、研究を試みたいと思います。 例えば、 •新しい計測技術を使って自分や友人のデータを取る。 •取得したデータに対して、自分の視点からの分析・統計処理を加え、考察する •ボールや用具や体の動きをモデル化し、シミュレーションし、機構を理解する •自分で練習法や練習器具をつくり、データを取り、効果を検証する •他者が出しているデータ・動画・解説・論文などを調査し、自分なりに整理・体系化する •上記の組合せ などが想定されます。より具体的な例は、ゼミの中で議論したいと思います。 以上のような趣旨で、このゼミの標題を「スポーツ自主分析科学研究」とし、前期Sセメスターに「入門」(1単位)を開講し、後期Aセメスターに「実践」(1単位)を開講する予定です。 前期Sセメスターの「入門」では、まず、担当教員が、スポーツの自主分析を科学的に行う研究の例や手法の紹介・指導などを行います。それらを参考にして、学生自身に、研究テーマや進め方を立案してもらいます。個人単位でもグループ単位でも構いません。自分(たち)の興味あるスポーツ関連の課題についてどんな研究を行いたいか、さらに、どんなデータの収集や分析、シミュレーション、調査など、科学的なアプローチを使って研究を進めるかなどの具体的な計画を考案してもらいます。8月に発表の場を設け、研究テーマの立案ができた学生やグループにはそれを発表してもらい、皆で討論をしたいと思います。期間中、質問や相談に応えるための機会をオンラインで設けます。 なお、予定では、後期Aセメスターの「実践」では、自分で決めたスポーツ科学のテーマで、学生自身に研究を実施してもらうことを考えています。集中講義形式で、中間発表や最終発表の場を設けます。また、期間中、質問や相談に応えるための機会をオンラインで設けます。もし、面白い研究が進んだ場合には、スライドを用いた発表のみではなく、成果をレポート、公表記事、論文などにまとめることも目指します。一方、中間時点で上手く研究が進まない学生には、適宜、担当教員が状況を聞きアドバイスを行います。研究は、必ずうまくゆくとは限りません。むしろ、順調に進まないことの方が多いです。順調に進まないときでも、その記録を残し、その状況を発表したりレポートにまとめることは極めて重要です。皆で、その発表を聞き、レポートに目を通し、議論することで、新展開が生まれ膠着状態を脱出できることが良くあります。このようにして、学生に身近なスポーツのテーマで「研究」というものを体験してもらうことがゼミの目標です。 授業計画 4月11日(木)@zoom 6限(19:00-20:30) ガイダンス 4月20日(土)@駒場(対面) 3限(13:15-14:45) 講師:佐々木一茂、標題:骨格筋の量・質とその変化について 4月20日(土)@駒場(対面) 4限(15:10-16:40) 講師:中澤公孝、 標題:野球の神経科学的アプローチ 5月11日(土)@駒場(対面) 3限(13:15-14:45) 開講 S スポーツ自主分析科学研究入門 講義題目 担当教員 佐々木 一茂、 スポーツ先端科学連秋山 英文 所属 携研究機構 曜限 単位 対象 1年 文科 理科 集中 1 2年 文科 理科 全学自由研究ゼミナール

元のページ  ../index.html#427

このブックを見る