時間割コード 31831 授業の目標概要 昨年度まで教養学部で開講されていた「ボーカロイド音楽論」を、稲見を代表教員とし 成績評価方法 教科書 ガイダンス 開講 S ボーカロイド音楽論 鮎川ぱて氏によるリードで開講します。 本講義は、現代日本の音楽状況の中でもっとも重要な存在感を示す「ボーカロイド(ボ カロ)」を用いた音楽群の分析を通して、音楽自体の本質に迫ろうというものです。「ア ンチ・セクシュアル」というキーワードが、講義のひとつの軸になっていきます。 最初に「ボーカロイド音楽シーンの中で人気を博したのが、ラブソング群ではなかった 」という事実に注目します。かつて音楽評論家の湯川れい子さんは「人間は、思春期を迎 えるとラブソングを求めるようになる生き物なんです」と語りました。果たしてそうでし ょうか。ボカロシーンでは、恋愛などの通念を自明とはしない感性を持った曲ーーアンチ ・ラブソングが人気を集めました(ex.「ラブという得体の知れないもの」)。人によっ ては厨二病的とも言うその感性の内と外を、フランスの人文学者ミシェル・フーコーの議 論を参照しながら考えていくところから講義はスタートします。 講義全体の1/3以上を、ジェンダー/セクシュアリティの議論が占めることになります 。フェミニズム、LGBTQをはじめとする性の多様性理解、クィア理論など、ジェンダー 論の基礎を知ることはもちろん、それらが先端工学と関わった先にある、新しい身体論( 身体情報学)を考えることにも、本講義は役立つはずです。 主なアプローチ手法は、記号論、ジェンダー論、精神分析ですが、駒場と言えば、リベ ラルアーツ。前記の人文科学的手法に留まらない領域横断的な分析を試みます。 ボカロは老若男女、すべての人を受け入れるシーンですが、その上で、やはり主役は、 若いみなさんだと思っています。みなさんが当事者として立ち会い、そしていまだ深度の ある議論が少ないボカロカルチャーこそは、そのような批評の対象とするに最適です。 ボカロ、表現、科学、ジェンダー。これらのうちどれかひとつにでも高い関心を持って いれば、どの立場の人も主役です。ボーカロイド音楽についての前提知識は必要ありませ ん。科類も問いません。「感覚を思考の俎上に載せること」を恐れないあなたの参加をお 待ちしています。 <鮎川ぱてプロフィール> ボカロP/音楽評論家 /東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程(身体情報学分野 稲見・門内 研究室) /東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科 非常勤講師 /16~23年度 東京大学教養学部非常勤講師として「ボーカロイド音楽論」を開講 出席および、中間提出物と学期末レポートなどで評価する。 次の教科書を使用する。/Will use the following textbook 鮎川ぱて 東京大学「ボーカロイド音楽論」講義 文藝春秋 4163913629 第一回授業日に行う。/Will conduct guidance at first time 講義題目 担当教員 先端科学技術研究セ稲見 昌彦 所属 ンター 曜限 単位 対象 1年 文科 理科 木 5 2 2年 文科 理科 全学自由研究ゼミナール
元のページ ../index.html#422