2024Sシラバス
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時間割コード 31120 講義題目 授業の目標概要 成績評価方法 教科書 ガイダンス 開講 授業科目名 S 先進科学Ⅲα 物理学による生命の記述(アドバンスト理科) 「生命の神秘」を見たとき、それを物理学で説明できたならば、その「神秘さ」は失われてしまうでしょうか。あるいは、「物質の神秘さ」をもたらすでしょうか。皆さんの答えがそのどちらであったとしても、生命現象の根底には数多くの物理法則が存在しています。例えば、細胞運動ではタンパク質溶液の液体-固体相転移(ゾル―ゲル相転移)やタンパク質の反応拡散波が鍵となります。また近年、細胞内ではタンパク質や核酸が会合し、膜を持たないオルガネラとして機能することが分かってきました。この現象は相分離と呼ばれ、その原理はドレッシングで生じる水・油の分離と同じものです。試験菅中でみられる相分離や相転移といった現象は、理論的に記述できるものの、少量かつ非平衡な細胞内での振る舞いとは異なる点も多くがあり、物理的に説明できない現象も多く存在します。こうした溝を埋めるべく、生物学と物理学が協力して研究を展開してきています。本講義では、物理学で説明できる(はずの)物質と生物の境界を明確化することで、現在の物理学で説明できる「物質の神秘さ」や説明できない「生命の神秘さ」を味わうことを目指します。そのため、物理学は得意ではないけれど好きな生物学を極めたい、あるいは、生物学は得意ではないけれど物理学を極めたい、という方を歓迎します。 本講義の前半では、ソフトという力学的性質の定義から、従来の気体・液体・個体とは異なるソフトマター全般の力学的性質について理解します。その後、生物細胞を題材に力学や熱力学、統計力学の知識を総動員しながら、生命を特徴付ける「生物の形、物質の移送、運動」といった現象について物理的に表現します。さらに、状況が許せば、物質である人工細胞と生細胞を実際に観察したり、マイクロキャピラリーと呼ばれる非常に細いガラス管やレーザーピンセットを直接操作する、生物らしさの体験も行います。 本講義では、議論やデモ実験を行うため、受講人数を20人程度に制限します。受講希望者が20名を超える場合には、ガイダンス後に基礎学力の確認と、生物学と物理学の複合領域への学習意欲に関する調査による選抜を行います。 授業における質疑や発表の様子とレポートをもとに評価します。 教科書は使用しない。/Will not use textbook 第一回授業日に行う。/Will conduct guidance at first time 担当教員 柳澤 実穂 所属 先進科学 曜限 金 2 対象 1年 文科 理科 2年 文科 理科 総合科目E 物質・生命

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