2024Aシラバス
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1年 文科 理科 2年 文科 理科 金 2 A 1年 文科 理科 2年 文科 理科 月 5 A 時間割コード 時間割コード 展開科目 人文科学ゼミナール 50948 講義題目 授業の目標概要 成績評価方法 教科書 ガイダンス 50187 講義題目 授業の目標概要 成績評価方法 教科書 ガイダンス 開講 授業科目名 人文科学ゼミナール(文化人類学) 開講 授業科目名 人文科学ゼミナール(歴史学) 研究入門:他者性をめぐる人類学的思考 【授業の目標】文化/社会人類学において、他者性(alterity,otherness)の概念はつねに重要な位置を占めてきました。この講義は、時代的・地域的背景のことなるいくつかの民族誌を読み合わせながら、他者性をめぐる人類学的思考の特徴を深く理解することを目的とします。受講者がそれぞれの日常において、このような思考を実践する可能性や意味を検討できるよう、インタラクティブな授業を目指します。 【概要】 人類学者の著す書物(多くの場合「民族誌」とよばれる)について、それが〈「文化的な他者」を理解可能なものとする記述・考察である〉とする一般的な捉え方があります。こうした理解にみられるように、これまで人類学は、客観的に記述・分析でき、把握できるものとしての他者性(cultural Other)を問題にする学問として位置づけられてきました。 1980年代以降、民族誌家が「文化的な他者」として描いてきたコミュニティの内外から、他者表象の権威性や暴力性などが問われるようになると、人類学の営みそれ自体が厳しい批判に曝されるようになりました。人類学者の営みが調査地で出会うことになる人々(他者)を言葉や概念によって領有する行為であること、その政治的帰結の深刻さなどが明るみに出されました。文化的他者(≒自分からもっとも離れた人々)のもとに飛び込み、調査者自身のものの見方や生への構えが問いなおされる状況で、新たな生き方の可能性について思索を巡らせるという人類学的フィールドワークは、特権的な地位にいる学者の自己満足でしかないという厳しい批判も寄せられました。 しかし、人類学的フィールドワークにおける他者性とは、文化的な他者性に留まるものではありません。つまりそれは、一見「訳がわからない」が「合理的に説明しうる」ような何かに留まりません。フィールドワークで浮かびあがってくる他者性とは、哲学における他者性の概念にあるように、それは理解をすり抜けてしまうもの、私の言葉や主張を否定してくるように思われるものを含む(少なくとも、含みうる)と考えることができます。このような意味での他者性は、初期の民族誌を丁寧に読めば浮かび上がってくるものであり、近年の人類学者に拠る手記や実験的民族誌においてはより明示的・豊かに展開されています。 つまり、人類学的思考における他者性には、自分とはことなる〈あたりまえ〉を生きる人々について、できるだけ理解しようと努めること(≒文化的な他者についての知識を得ること)と、どうしても私の理解をすり抜ける、あるいは日常が裂開するような経験において感じられるような根本的な(radical)他者性のなかで思索をめぐらせる、と二つの極が、相互排他的ではないかたちで共存してきた、いうことです。この講義では、上述のように人類学における他者性は二つの極を揺れ動いてきた、という理解(仮説)にもとづき、他者性をめぐる人類学的思考の軌跡をなぞっていきます。 ・平常点(ディスカッションへの参加度)を重視します(70%)。 ・そのほか、①読み合わせの回でレジュメをきってくれる場合には、その発表内容を、②担当されない場合には読書メモの提出を最低3回分、提出してもらいます。これを以て提出物として評価します(30%) 授業中に指示をする。/Will specify at class time 第一回授業日に行う。/Will conduct guidance at first time 「東京の民俗学」を構想する この授業では「東京の民俗学」がどのように可能か、考えてみたい。 民俗学は、さまざまな形で営まれる人々の暮らしのありかたについて、具体的な記述とともに考える学問分野である。そういった意味では研究のフィールドはどこでも成立しうるはずだが、民俗学では暮らしの地域的多様性に関する関心が強く、また、どちらかといえば伝統文化を扱うことを得意としてきたという事情から、少数の例外をのぞいて、東京のような大都市の生活はフィールドワークの地とはなりにくかった。 一方で、民俗学においては現代社会を生きる人びとの同時代的な日常生活への関心も高まっており、地方・農村・伝統文化などを扱うことだけが民俗学ではないという考えが主流化している。ただし、その場合、特定の土地に結びついた研究として行われるというよりは、より広い地域でみられるような現象を扱おうという傾向が強く、やはり「東京の」民俗学が行われてきたとはいいがたい。 この授業ではジョルダン・サンド著『東京ヴァナキュラー―モニュメントなき都市の歴史と記憶―』を手がかりに、東京の民俗学がいかにして可能か考えてみたい。同書は民俗学の視点から書かれたものではないが、書名にある「ヴァナキュラー」というキーワードは、現代民俗学の最重要キーワードのひとつである。この本を片手に、ともに「東京の民俗学」を構想してみたい。 授業中の発表(約50%)、議論への貢献度(約50%)をもって総合的に判断する。もし受講者が多く全員に発表の機会がない場合は、レポートをもって代える可能性がある。 次の教科書を使用する。/Will use the following textbook ジョルダン・サンド(池田真歩訳) 東京ヴァナキュラー―モニュメントなき都市の歴史と記憶― 新曜社 9784788517387 第一回授業日に行う。/Will conduct guidance at first time 担当教員 中村 沙絵 担当教員 塚原 伸治 所属 文化人類学 所属 歴史学 曜限 曜限 対象 対象

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