2023Sシラバス
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大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 探求するに値する「問い」を自ら見つける能力を身につけるため、①まずは、すでに問われている重要な「問い」としてどのようなものがあり、また、それに対していかなる「答え」が出されているのか(あるいは、出されていないのか)、を文献の講読を通じて検討し、②その作業を踏まえ、自らの「問い」を立て、それについて探求する小論文の執筆を行う。 具体的な素材としては「寛容」の問題を取り上げる。この問題は、ヨーロッパ近代(とそれに先行する時代)において特に宗教との関係で議論された(代表的な例として、ロックの寛容論が挙げられる)。それ以後も、現在に至るまで、寛容はどのような場面でなぜ必要となるのか、また、それはどのようにして実践されうるのか、が問われ続けている。このような寛容の概念は、その出自からして、近代、そして近代と不可分の関係にある現代的民主主義や人権概念とも密接な関係を持つと思われる(ただし、これ自体が興味深い現象であるが、法学上の専門用語として「寛容」そのものが出てくることは希である。たとえば、日本国憲法の中にこの言葉は出てこない)。今日、国籍、人種、エスニシティ、ジェンダーといったような要素との関係で寛容という概念が持つ重要性はむしろ大きくなっていると言える。この寛容の概念について関連文献の講読を通して検討を行い、それが今日の世界においていかなる意味を持っているのか、といった問題について考察する。 授業では教科書欄に掲げた文献を講読する。この著作はアメリカの政治理論家であるマイケル・ウォルツァーによって書かれたもので、現代アメリカの状況に照らして寛容のあるべき姿を探ることを目的としたものであるが、その中で展開されている議論は世界の状況を視野に入れており、本授業の検討課題を考えるに当たって参照するに値する文献である。 【学術分野】法・政治 【授業形態】文献批評型 出席、授業における発表および討論への参加・貢献度に基づいて算定される平常点ならびに小論文による。 初年次ゼミナール文科 31764 水 3 授業の目標・概要 【共通目標】 成績評価方法 授業のキーワード 寛容、宗教、法、政治、多文化主義 教科書 ガイダンス 次の教科書を使用する。/Will use the following textbook 書名 著者(訳者) マイケル・ウォルツァー(大川正彦訳) 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 31778 金 4 授業の目標・概要 【共通目標】 大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 これから法学を学んでいきたいと思っている初学者たちが、議論しながら、比較的少数の基本判例をじっくりと読み解いていくためのゼミです。判例によっては、最終結論としての最高裁判決だけでなく、第1審判決なども取り上げていきますので、せっかちな人、広く浅く手早く結論を得たい人などには、向かないかもしれません。しかし、「事実は小説よりも奇なり」と言います。それぞれ個性的な事案を前に、担当裁判官がどのように考え、どのように法を解釈し当てはめたかを、判決のテクストを通じて追体験することは、スリリングとも言える楽しみがあります。また、複雑な文章の背後に基本となる考え方が掴めたときは、熟読した者のみが体験できる醍醐味があります。取り上げる判例は、主に憲法の分野から選ぶ予定です。 【学術分野】法・政治 【授業形態】文献批評型 出席、発表および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 成績評価方法 授業のキーワード 判例読解、法学の基礎、憲法の基礎 教科書 ガイダンス 教科書は使用しない。/Will not use textbook 書名 著者(訳者) 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 寛容の意義と可能性 『寛容について 新装版』 みすず書房(2020年。旧版は2003年刊。原著は1997年刊) 462208919X 授業最初の段階ではこちらで用意して配布するので購入の必要はない。 両角 吉晃 福岡 安都子 法・政治 法・政治

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