2023Sシラバス
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鍾 非 大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 学者にはひらめきあり。ぼく、日頃、ひらめいたアイデア(基礎)を披露しておく。「日本で豆腐販売量(1人当たり)が一番多い都道府県はどこ?」という純粋な「物知りクイズ」(or蘊蓄)には、私は欠伸を連発しがちだ。正直、私の蘊蓄(≈常識+非常識)量は「物知りおばあちゃん」を遥かに下回っている。でも、「日本で大豆の栽培面積が大きくて水も綺麗な都道府県はどこ?」という少し意地悪なクイズも聞かれると、(正答が分からなくても)別人のように興味津々である。大豆と水(因)が、豆腐(果)を決める重要な要素であり、二つのクイズを結びつける因果関係(関連性)を考えると興味深いだからだ。したがって、私は、物知りおばあちゃんのように蘊蓄を傾けるのではなく、(単独だと)得てして無味乾燥な蘊蓄の背後に潜んでいる因果関係を究明する(上述の例では、「日本で大豆の栽培面積が大きく水が綺麗な都道府県における豆腐販売量(1人当たり)も多い」という仮説を立てて検証する)ことこそ、物事を的確に理解・判断する際の決め手だと固く信じている。物知りおばあちゃんが知っているか否かは知らないものの、因果関係(の強さ)を語る数学の入門(統計学)は、普通の(「加減乗除」ができ、必要最低限の思考力がある)子供でも取っ付き易い。老婆心だが、「共分散を始めとする因果関係の強さ」「相関係数の絶対値の大きさ」「最小二乗法」の求め方すらちんぷんかんぷんだと、将来、論文は書けそうもなく、せいぜい「豆腐販売量が日本一の都道府県名をわけもわからず暗記できるだろう。しかし、(物知りおばあちゃんのように)加齢とともに必ずや落ちる記憶力をずっと自慢しても、仕方あるまい(AIを除く)。そこで、言わずと知れた、表計算ソフトの「横綱」・Excelで「関数」という機能(統計を含む)に着目し、データを示す散布図の作成を皮切りに、回帰線の切片と傾き(最小二乗法)の求め方を明示(備考:ソフトの杓子定規な操作より、IQ指数に直結する計算方法を遥かに重視)。ソフト≠学問。その意味で、表計算ソフトの「大関」・ロータス123も当然OK。上述を踏まえて言えば、ソフトはつまらぬ蘊蓄(でも有用)だ。数の間の因果関係をとことん(=凡人が想像も付かぬほど徹底的に)解明する数学こそ、究極の学問)。「政治」「社会」「経済」「法律」「哲学」(社会科学)の全貌やその一部を浮き彫りにするための「プロの料理人」(orサッカー選手)としての技の基本(サッカーで言えば、lifting。)を、しっかり身に付けさせたい。講義の醍醐味を表せるクイズを思い付き(=稲妻のように閃いて)で出題しよう(偏差値19):「よちよち歩きの一歳児」とかけて、「はじめ」ととく。その心は?答え:第一歩。 【学術分野】法・政治 経済・統計 社会・社会思想史 国際関係 歴史学 国文・漢文学 文化人類学 哲学・科学史 心理・教育学 人文地理学 【授業形態】ディシプリン型 フィールド型 文献批評型 出席、発表および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 無味乾燥な暗記を辞め、興味深い仮説を立てて初年次ゼミナール文科 31788 金 3 授業の目標・概要 【共通目標】 成績評価方法 授業のキーワード 基礎の基礎の基礎 教科書 ガイダンス 教科書は使用しない。/Will not use textbook 書名 著者(訳者) 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 しゃきっと検証しよう 経済・統計

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