2023Sシラバス
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大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 文化人類学で用いられる基本的な調査方法のひとつに参与観察法というものがある。参与観察法とは、実際に人々が生活する現場に行き、そこにいる人々と一緒に生活したり、同じことをすることを通じて、その人たちが考えていることや感じていることについて知ろうとするものである。この参与観察法は、もともとは遠い異文化世界の人々のことを理解するために生み出されたものだが、現在では身近な社会集団の調査や、医療やアートの現場、企業や官公庁のマーケティングなど、様々な分野に応用・活用されている。 本授業では、大学内外のサークルで実際に各自が参与観察調査をすることを通じて、この方法の習得を目指す。改めて考えてみると、サークル活動や部活動というものは、一般に参加が強制されているものではなく、またそれに参加したからといってすぐさま経済的な利益が出るようなものではない。むしろ、サークル活動のせいで、単位を落としたり、お金をたくさん使ったり、活動の方針を巡って人間関係の葛藤を経験したりと、かえって生活上の「不利益」を被っているようにすら見える場面もある。しかし、それではなぜ人々は、それでもサークル活動や部活動をするのだろうか。本授業では、参加者各自に「普通に生活していたら自分は参加しない」と思われるような「見知らぬ」サークルを選んでもらい、そこで参与観察調査を実践してもらうことによって、上記のような問いに取り組んでもらう。こうした中で、私たちにとって「共に集い、同じことをする」ことの意味について問い直す中で、私たちが日常的に行っている集合的な文化活動に対して学術的に接近する方法論を涵養していくことを目指す。 【学術分野】文化人類学 【授業形態】フィールド型 出席、発表および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 初年次ゼミナール文科 31735 月 4 授業の目標・概要 【共通目標】 成績評価方法 授業のキーワード 参与観察、文化人類学、サークル、文化、実践論 教科書 ガイダンス 教科書は使用しない。/Will not use textbook 書名 著者(訳者) 出版社 ISBN その他 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 ──見知らぬサークルを調査する 参与観察調査入門 相田 豊 スペイン語

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