総合科目 L 英語中・上級 60171 A2 講義題目 楽園はここにある―Marcus B. Huish, Birket Foster: His Life and Work (1890) を読む 授業の目標概要 あなたの楽園はどこにありますか。日本人の楽園はどこにあるのでしょう。イギリス人の楽園は村にあります。「愛すべき農村」のイメージ。都会と違って恐ろしいことは何も起きない、知らない者が侵入してくることもない、皆が皆をよく知っていて、親密な人間関係のなかで、多少の悶着も厄介ごとも、すべてユーモアと笑顔と、ゆるいキリスト教的モラルで乗り越えられていく、居心地のいい楽園。そこで永遠に繰り返される生産のサイクル。春、夏、収穫、冬。今年も、来年も、いつまでも。いつか、薄汚れた都会など離れ、緑のコテージに住んで、そういう「本当に確かなもの」を手に入れるんだ。都会に寓居するイギリス人はそうやって、永遠の楽園としてのカントリーライフを夢見ているのです。 そういう「楽園」のイメージを、ヴィクトリア朝イギリスの画家、バーケット・フォスター (1825-99)の挿絵や水彩画が描いています。心ざわめくようで、それでいてどこか懐かしい、気がかりな夢の断片のような、イングランドの田園風景。今回、このクラスでテキストにするのは、そのフォスターの絵をふんだんに掲載した、画集のような伝記のような、マーカス・ボーン・ヒューイッシュ (1843-1921) による1890年出版の本です。 130年も前の格調高い英文ですので、少々読みにくいと感じる方もおいでかもしれません。文体もそうですし、内容的にも古いので、ある程度は調べながら読んでいかないと、うまく読解することはできません。授業で行うのは、ですので、そういったこと、つまり、テキストの精読、ということになります。テキストをきちんと精読するためには作法があり、それはどんな文章であろうと変わりません―現代英語の気楽な読み物だろうと、ヴィクトリア朝イギリスの華美な文体だろうと、千年前に書かれた古英語の断片だろうと、同じです。この「作法」を、まあ、お伝えしたい、そういう授業です。 時間割コード 授業科目名 開講 (クラス指定ターム型) 英語中級 担当教員 堀越 庸一郎 所属 曜限 英語 水 3 対象 1年 文一二(17,28)文三(15)理一(8,29,33)理二三(21)
元のページ ../index.html#74