2022Aシラバス
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■全学体験ゼミナールを履修する場合は、必ずUTASでシラバスを参照し、本冊子には掲載されていない詳細な授業内容等を確認したうえで、履修登録を行ってください。 【注意1】時間割コード60217①体験partと60218②総合考察partはセットで履修いただく必要があります。ご留意ください。 【注意2】シラバスには本ゼミのコンセプト他、申込方法などの重要な伝達事項を記してあります。長文ですが、必ず良くお読みください。 【注意3】この授業は、開講日程の都合上成績が前期課程修了要件に反映されないことがあるので、履修にあたっては十分にご注意ください。 はじめに 冬のゼミは満開の菜の花畑と早咲きのサクラ見学から始まります。東大印の温泉にも入れる。それだけを目的に観光気分で伊豆ゼミに来るとしたら、それはとてももったいないことです。 日頃使うだけの燃料調達プロセスに関わることで初めて感じるコト、そして無意識に食べてきたチョコレートを教材に据えてみて初めて見えるコトがある。知っている「つもり」のものの中に、まだまだ多くの学ぶべきことが存在することを知ることは、大学生にとってとても有意義な体験となるはずです。 体験ゼミ「伊豆に学ぶ」シリーズは、山のことや自然のことにあまり詳しくない初心者向けの講義です。垣根を低く設定してありますし、分かり易いことと伝わり易いことを心がけて、工夫して組み立てた体験型のゼミですから、知りたいという思いさえあれば、色々なことを学べます。例えば初日に菜の花畑と早咲きの河津桜を見学します。もちろんぼんやり眺めても楽しめる装置であることは間違いありません。あなたが観光客ならば「わー。きれい! 超ヤバー」とか言っていればいいのかも知れません。でも、ゼミの視点で眺めてみると、そこからも数々の学びや気付きを引き出すことができることに気付きます。そして、ゼミでその様な取り組みをする方が、ずっとおもしろいことに気付くはずです。このように伊豆ゼミでは、受講学生それぞれが感じることと考えることを特に大切にしています。 また、伊豆ゼミでは東大生のまじめな一面を引き出して、一人一人が魅力ある人格として、相互に作用しあったり高めあったりするそういった「場」を提供したいと考えています。東京大学が総合大学であることを満喫していただけるようなゼミを目指します。自分とは背景の異なる人が、何をどの様に捉え、感じ、考えるのかを知ることは、お互いにとても刺激的な体験となります。思いがけないインスピレーションを得ることもあるでしょう。 「伊豆に学ぶ」の背景 「伊豆に学ぶ」シリーズは、人と自然のつながりや、人と人のつながり、そして現代社会において見えにくい「プロセス」が見えてくる仕掛けであることを基本としている。 チョコレートやプリンが大好きという人は少なくないであろう。それらの原料が、カカオやバニラという植物由来であることを知っている人も少なくなかろう。しかし、それらがどういう植物なのか、実物を見たり触ったりしたことがある人はいるだろうか。実際にカカオを焙煎して、細かく挽いてカカオバターと混ぜて練ったことがある人はいるだろうか。その製造の過程で、きめ細かい温度制御が求められることを知っている人は果たしているだろうか。このゼミ中に完成させるカカオを出発材料とする手作りチョコレート(ビーントゥーバー)は、それはそれは価値あるものであることは間違いない。是非、店で売っている普通に手に入るチョコレートと食べ比べていただきたい。その体験こそが、このゼミでしかお伝えできない事だと言っても過言ではない。手作りした甲斐あって美味しいのか?をここで言及することは無意味だ。それを伊豆に来て実際に確認して欲しい。 本ゼミは農学生命科学研究科附属演習林の樹芸研究所で展開される。樹芸研究所と聞いて「樹芸」ってなんだ??と思うだろうか。「樹芸」とは樹に親しみ、樹を暮らしに役立て、樹を育むことを包含する言葉と私たちは定義している。樹芸研究所が開講する一連の体験ゼミは「人の暮らしと生態系の関わり」を基調に、「樹芸」体験を盛り込んで、学ぶということの原点を見直すことに重きを置いている。 森林・樹木の物質生産機能に重点を置いた樹芸体験を用意している。チョコレートやプリンやバニラアイスなど、私たちの日常生活において在り来たりになっているモノたちに焦点を当て、日頃の生活において見ようともしない・気付こうともしない、見えにくい「プロセス」を探る旅に出よう。 お薦めのそんな旅を、東大生はなんと伊豆で体験デキルのだ。 樹芸研究所と下賀茂寮のある伊豆半島南部は、シイ・カシなどの常緑広葉樹が優占するが、かつて人の暮らしに役立てるために植えられた竹林が人の暮らしぶりの変容に従って放置され大きな問題となっている。この問題は、人間の勝手で自然を乱開発して破壊するという種類の問題ではなく、長い年月行ってきた自然への干渉の手を引いて放ったらかすという点が大きな特徴だ。 意識してみるとそういう現象は他にもたくさんあることに気付くでしょう。このゼミナールではその問題の竹林の有効利用の一つとして竹炭生産をとりあげ、竹の伐採、窯詰め、炭焼きの作業を行いながら、これらの問題の本質が何なのかを一緒に考えてみたい。簡単に「考えてみたい」と書いたが、考える前にまず感じられる「感性」を研く必要がある。本ゼミでは、ただ「炭焼きができる東大生」を育てたいわけではなく、炭焼きという体験から様々なことを考察することができる東大生を育てたい。 伊豆ゼミの流れ 竹炭焼きの待ち時間には、樹芸研究所の森林を見てもらいます。近年大きな問題となっている獣害の現場をよく見てもらうこともゼミの重要なポイントです。山をぼんやりと歩いても何が獣害の痕跡なのか分からないかも知れません。まずは、その「分からない状態」であることを正しく認識することがとても重要だ。モノを見る訓練をしていくとやがて心の底から「獣害ヤバイ!」と思えるようになるはずで、本ゼミでは、その様に自分が変化していくプロセスを意識的に体験できるような仕掛けがいくつも仕込んであります。 獣害問題を少し自分の問題と捉えることができるようになったところで、原因獣の対処法の一例として、原因獣を野全学体験ゼミナール 60217 A2 授業の目標概要 1 時間割コード 開講 伊豆に学ぶ_竹炭焼き+熱帯植物日頃使うだけの燃料調達プロセスに関わることで初めて感じるコト、そして無意識に食べてきたチョコレートを教材に据えてみて初めて見えるコト 講義題目 編1①体験part 担当教員 鴨田 重裕 所属 曜限 単位 農学部 集中 対象 1年 文科 理科 2年 文科 理科

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