全学自由研究ゼミナール 51429 51430 授業の目標概要 現在、日本国内は新型コロナ感染蔓延期の真っただ中に差し掛かろうとしています。依然として確立した治療法は見つかっておらず、我々の医療体制をはじめ、社会、経済活動、生活様式等にも長期に亘り大きな影響を与えています。それと同時にポストコロナに向けた動きも加速してきています。 また、2022年2月からのロシアによるウクライナ侵攻は、安全保障やサプライチェーン、天然資源確保、食糧確保等の枠組みについて、再検討する必要があることを強く示唆しています。米中の緊張感も予断を許さない状況です。一方、地球温暖化問題への世界の取り組みも加速され、カーボンニュートラルの実現に向け、政府のみならず、自治体、企業単位でも達成時期の目標を掲げ、金融部門がチェックする枠組みが形成され、社会システムの「大転換」が必要になっています。 このようなグローバルな動きや出来事1つ1つが、直ちに我々の生活や経済などに大きな影響を与え、これらが様々なリスクを含んでいることに気づかされます。一方で、日本における超少子高齢化、生産年齢人口の減少や財政赤字、急速に進む円安、半導体不足の問題、ロシア・中国をめぐる国際秩序の変化、インドの人口増加、中東などにおける民族や宗教の対立をはじめとする世界の不安定化等、日本を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。このような環境下、これまで享受してきた「秩序」や「安心」を確保する枠組みは、自明なものではなく、持続可能なものではなくなりつつあります。 他方で、IoT, DX、VR, 人口知能、バイオテクノロジー、宇宙開発、医療技術、新素材、量子コンピュータなどの新技術は、私たちの社会や生活を大きく変える可能性を秘めています。こうした先端技術を組み合わせ、「今までなかった価値」を生み出していくためには、社会と経済の「仕組み」を不断に見直し、世界の目まぐるしい変化の最先端を察知し、適応し続けることが求められます。 本講義では、このような激動する社会において、政策立案の最前線で日々奮闘している経済産業省、財務省及び金融庁の現役官僚をゲストスピーカーとして招きます。それぞれが担当する政策分野について、 ①激動する国際社会の動向、 ②その変化が私たちの社会・経済に与える影響やその変化の意義、 ③これらを踏まえた日本経済の再生に向けた戦略、 ④政策が果たす役割を語るとともに質問に答え、また学生の皆さんとディスカッションしていただきます。産業政策、財政政策、金融政策、通商政策、資源エネルギー政策、環境政策など私たちの社会・経済のあり方に深く関わる政策をテーマとしてとりあげる予定です。 本講義を通じ、以下の3点を身につけていただくことができると考えています。 1)メディアでは時として報道されない、世界規模の構造変化の真の姿に対し、 政府の取り組みに当たっての基本的考え方 2)学際的な視点から、我が国を取り巻く社会・経済の諸問題を分析すること 3)日本経済の再生戦略、競争力強化戦略と、それを実現するために政策が果たしていく役割 時間割コード 時間割コード 開講 日本の経済戦略と政策が果たす役割~政策の最前線で奮闘する現役官僚が語る~ 開講 エネルギー・温暖化問題を考A A 講義題目 講義題目 える 仲 浩史、星野 岳穂、池田 宜睦 担当教員 担当教員 有馬 純 所属 公共政策大学院 所属 公共政策大学院 金 2 2 金 2 2 曜限 単位 対象 1年 文科 理科 2年 文科 理科 曜限 単位 対象 1年 文科 理科 2年 文科 理科 授業の目標概要 エネルギーは現代の産業社会を支える血液のような存在であり、各国の国家安全保障にも大きな影響を与える。地球温暖化問題に代表されるようにエネルギー利用に伴う環境負荷の低減も大きな課題となっており、2021年のCOP26で合意されたグラスゴー気候合意では産業革命以降の温度上昇の1.5℃安定化、2050年カーボンニュートラルを目指している。他方、2022年2月に勃発したロシアウクライナ戦争は世界のエネルギー安全保障環境やエネルギーフローを大きく変えており、温暖化防止に対する国際的取り組みにも様々な影響を与えている。こうした中、エネルギー安全保障、地球環境保全、経済効率性の同時達成は容易ではない。本講座ではエネルギー問題、地球温暖化問題の全体論から石油、天然ガス、石炭、再エネ、原子力、電力市場改革についての現状及び課題、並びに、エネルギーインフラを支える資本市場の発展、プロジェクトファイナンスのあり方等について講義を行い、エネルギー温暖化問題についてのバランスのとれた視点を提供することを目的とする。 本講義は、株式会社日本政策投資銀行が、再生可能エネルギーの可能性と課題につきバランスのとれた専門知識と政策マインドの涵養を目的として東京大学公共政策大学院に開設した「再生可能エネルギーと公共政策」に接続するものである。
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