2022Aシラバス
214/298

学術フロンティア講義 51445 51462 授業の目標概要 地球の気候システムはさまざまな時間スケールで変動しており、それにかかわる海洋環境の変化や極端気象の発生などの自然現象は、生態系はもちろん農林水産業といった人間社会の営みに影響してきた。20世紀後半以降、気候の温暖化が顕著となり、科学的な評価にもとづき、産業革命以降の文明社会が排出してきた温室効果ガスがその原因であることが明らかになっている。温暖化による社会への負の影響を最小限に抑えるため、2050年までに二酸化炭素の正味排出をゼロにするカーボンニュートラルが国際的な流れとなってきた。 気候変動あるいは地球温暖化の問題は、もはや自然科学の枠を超えている。気候変動を理解し予測する理学的なアプローチ、気候変動の影響を明らかにする農学・水産学・生物学的アプローチ、カーボンニュートラルを実現する工学的なアプローチに加えて、将来の社会の在り方に依存する温室効果ガスの排出経路推定、気候正義に代表される社会の格差解消に対する公共政策、個人から組織、国家までのさまざまな階層でカーボンニュートラルを達成するための行動変容など、人文社会科学的なアプローチを組み合わせたトランスフォーマティブサイエンスの実施が必要である。そこで本講義では、変わりゆく気候のもとで持続可能な社会を実現するための分野横断的な自然科学・社会科学・人文学研究を俯瞰する。 時間割コード 時間割コード 開講 グローバル・コモンズの管理とシステム転換 開講 A A 講義題目 講義題目 気候と社会 担当教員 未来ビジョン研究セ川崎 昭如 担当教員 瀬川 浩司、成田 大樹 、渡部 雅浩、杉山 昌広、横山 祐典、吉田 丈人、沖 大幹、芳村 圭、小坂 優、佐藤 仁、羽角 博康、岩田 容子、江守 正多、教養教育高度化機構 火 2 森 章 所属 ンター 所属 火 2 2 2 曜限 単位 対象 1年 文科 理科 2年 文科 理科 授業の目標概要 ・私達が暮らす地球は、これまで人類が住み慣れた「完新世」から全く未知の地質時代「人新世」に突入している。これは産業革命以降拡大してきた人間活動が地球環境に大きな負荷をかけ、近年それが急速に進行し、地球という人類の共通財産が危機にさらされていることを意味する。すなわち、これまで私達の繁栄を支えてきた安定的でレジリエントな地球システム(グローバル・コモンズ)の毀損という、未曽有の危機に私達は直面している。 ・そうした認識から、東京大学では「地球という人類の共通財産を管理し次世代に引き継ぐための変革」および「持続可能な社会を地球容量の枠内で達成するためのシステム転換」をグリーントランスフォーメーション(GX)と位置づけ、それらの研究と実践を駆動するための新しい体制を作るとともに、地球と人類社会の未来に貢献する「知の協創」を担う人材の育成を目指している。 ・具体的には、多様なステークホルダーとの対話と実践を通じて学知と協創を生み出すことにより、急速に変貌する世界の中で地球環境危機に立ち向かう知的基盤を自らの中に構築し、課題解決に向けて社会に対してリーダーシップを発揮する人材である。人類が抱える大きな課題に積極的に取り組む人材を育てることは、東京大学が社会から負託された使命である。 ・本講義では、多様な学問に基づくGXについての総合知の習得を目的とする。さらに、東京大学のGXへの取り組みについての課題演習に取り組むことで、地球規模課題を自分事として捉えるとともに、仲間との対話を通して課題解決に向けたリーダーシップと創造性を育むことを本講義では目指している。 曜限 単位 対象 1年 文科 理科 2年 文科 理科

元のページ  ../index.html#214

このブックを見る