総合科目 E(物質・生命) 50677 A 50960 A 生命進化概論(アドバンスト理科) 講義題目 授業の目標概要 「生物学は進化という観点がないと何も理解できない」というのは進化生物学者のドブジャンスキーの言葉である。生物とは自然界で唯一進化する能力をもつ存在である。生物はおよそ40億年前に化合物の集まりとして誕生し、その後数億年を経て原核生物、真核生物、さらに多細胞生物へと進化し、ヒトが誕生した。いまや自然界はスケールの異なる無数の生物で埋め尽くされている。なぜ生物は進化するのだろうか? いかなる仕組みでこんなにも多種多様に進化し得たのだろうか? どこから来て、そしてどこへ行くのだろうか? そこにはどんな法則や傾向があるのだろうか? これらの答えを得るために、今現在も数多くの科学者が研究を続けている。本講義では、これまでに行われてきた生命進化の研究を紹介し、実際に進化の計算機シミュレーションを通じてその研究の一端を体験してもらう。これにより進化という現象を計算機の中に再現できるようになり、生命進化の何が当然で、何が奇跡だったのかを理解できるようになる。 本講義では講義とあわせて受講者にpythonを使って進化シミュレーションを行ってもらう。シミュレーションにはプログラミング技術が必要であるが、意欲さえあればこれまでの経験は問わない。必要な知識は授業中に身につけることができる。進化という現象は生物学を学ぶだけではなく、最適化のアルゴリズムとしても、そして私たち人間の特性を知るためににも重要な知識である。生物の知識の有無や理系文系を問わず意欲のある受講者を歓迎する。 なお、受講者数を20名程度に制限するので、ガイダンス時に生命科学の基礎学力の確認と学習意欲に関する調査を行う。その結果、1週間以内に、第二回以降の受講対象者の学生証番号を発表する。 構造生命科学概論(アドバンスト理科IV) 講義題目 授業の目標概要 我々ヒトは約2万種類の遺伝子を持っており、遺伝子によってコードされたタンパク質は驚くほど多様な機能を発揮する。例えば我々が眼で物を見ることができるのはロドプシンと呼ばれる膜タンパク質が光を受容し、その情報を細胞内に伝えるためであり、我々が記憶や情動といった複雑な脳機能を発揮するのは、元を辿ればカリウムイオンチャネルやナトリウムイオンチャネルといった膜タンパク質が適切なタイミングで特定のイオン種を細胞内外へ輸送するためである。しかし、タンパク質が「光を受容し、その情報を細胞内に伝える」とは一体どういうことだろうか。タンパク質が「適切なタイミングで特定のイオンだけを輸送する」とは、原子レベルで考えた時に一体何が起こっているのだろうか。化学的に見ると「20種類のアミノ酸が連なった鎖」に過ぎないタンパク質がこれだけ多彩な機能を示すのは、タンパク質がそのアミノ酸の種類や並び方によって特定の立体構造に折り畳まれ、その複雑な形に応じて機能を発揮するためである。タンパク質の複雑な機能を理解するためにはその形を理解することが肝要であり、それを可能としてくれるのがタンパク質立体構造解析であり、構造生物学(構造生命科学)である。本講義では、タンパク質立体構造解析の手法の中でも、その手法開発や関連研究について20以上のノーベル賞が送られているX線結晶構造解析、クライオ電子顕微鏡法に焦点を当て、その原理や実例を紹介する。さらには、タンパク質の構造から一体どういった情報を読み取ることができるのか、タンパク質の構造情報を用いることで一体何ができるようになるのか、タンパク質エンジニアリングや創薬などを例に交え、講義と簡単な演習を行う予定である。また、時間が許せばAlphafold2をはじめとした、近年開発の進んでいるタンパク質構造予測手法についても紹介を行う。 なお、受講者数を20名程度に制限するので、ガイダンス時に生命科学や生物物理への興味と学習意欲に関する調査を行う。その結果、1週間以内に、第二回以降の受講対象者の学生証番号をアドバンスト理科のホームページに掲載する。 時間割コード 時間割コード 開講 授業科目名 先進科学Ⅱα 開講 授業科目名 先進科学Ⅳα 担当教員 市橋 伯一 担当教員 加藤 英明 所属 先進科学 所属 先進科学 水 5 金 2 曜限 曜限 対象 1年 文科 理科 2年 文科 理科 対象 1年 文科 理科 2年 文科 理科
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