初年次ゼミナール文科 大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 担当者は、教養学部で国際関係史を教えています。専門は、アジア政治外交史、特に中国や台湾に外交の歴史、国際関係の歴史です。ディシプリンは歴史学、外交史学になります。また、昨今は中国や台湾の現状分析もしており、こちらの面ではディシプリンは地域研究だとも言えます。このほか、皆さんとの関係で言えば、高等学校用の世界史B(東京書籍)の執筆者でもありました。この4月から始まる歴史総合(東京書籍)の執筆者でもあります。 この初年次ゼミナールの授業では、高校を卒業したばかりの学生諸君に何かしらのディシプリンを体験してもらいながら、「学問」に触れてもらうということを目標としています。自ら「問い」を立てて、最終的に小論文を書くわけです。こうしたことに鑑みますと、地域研究は現地での調査はできませんし、難しいと判断し、やはり歴史学、外交史学で授業ができればと考えました。歴史学は、史料に依拠しながら問いをたて、その史料に依拠して立論していく学問です。ですので、「歴史の物知り」、「歴史クイズを極める」ことが目的ではなくて、史料に基づいて実証していくという方法論に触れるということが目標になります。また、その対象についてなんでも受け入れるということもできませんので、ここでは特に昨今東アジアにおいて問題となっている歴史問題について取り上げたいと思います。歴史をめぐる問題というのは色々ありますが、南京虐殺問題、慰安婦問題、「強制」労働問題、遺棄化学兵器問題などをはじめとして数多くあります。 歴史をめぐる問題をどのように「解決」するのかということは難しいですし、何が解決かということも多様です。ただ、⑴その事件がどのように生じたのか、⑵その問題がどのように形成されて行ったのか、ということをある程度史料に基づいて歴史学的に検証することは可能です。前者は、例えば南京虐殺事件なら、その事件がいつどのように生じたもので、実際にどのようなことがあったと考えられるか、ということを史料に基づいて検証し、その上で歴史をめぐる問題においてそれがどのように議論されているのかを考察するということができるでしょう。また、後者であれば、その南京で生じた事件が、戦中・戦後に大きな問題として認識され、外交問題にまでどのように発展して行ったのか、それについてどのような交渉があったのかということを検証、考察することができるでしょう。 個々の参加者は、これらの問題について問いをたて、アジア歴史資料センターの資料や図書館の資料などを参考にしながら「実証」の訓練をし、また可能な範囲で先行研究を批判的に検討して、オリジナリティを出すことを目指します。また、議論をする際に、どのように議論することが求められているのかということを知るのも大切なことと思います。そして、学期末に小論文をまとめてもらいます。 授業には大学院生のTAが参加して、皆さんの相談に応じるでしょうし、教員も授業時間、またそれ以外の時間などに面談をすることも可能です。歴史学とは何か、歴史をめぐる問題とはどのような問題か、言説と事実との関係はどのようになっているのか、といったことに関心のある学生を歓迎します。 【学術分野】国際関係 【授業形態】ディシプリン型 フィールド型 文献批評型 大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 本授業では、人の感情に関する諸側面の基礎知識を理解し、自ら「問い」(テーマ)を見出して設定する。研究史の中で、どのようにその問いが検討されてきたか、文献レビューを行い、小論文にまとめる。 目標① 感情の心理学に関する基礎知識を理解する。 目標②「問い」(テーマ)を設定し、心理学の論文の文献レビューからその問いを明らかにし、レビュー論文を執筆する。 課題の発見:自分なりの問い(テーマ)を見出す。文献レビュー:心理学の研究史の中でその問いがどのような方法で検討され、どのような知見が見出されてきたか、先行研究のレビューを行う(英語論文を含む)。考察:先行研究の研究動向をメタ的に把握し、残された課題や将来期待される研究などを議論する。発表:研究成果をまとめて、他者に論理的に説明する。論文の作成:研究成果を論文にまとめる。 目標③ グループで学び合う。 研究の進め方や方法についてアイデアを出し合う。コミュニケーション能力を身に着ける。 【学術分野】心理・教育学 【授業形態】ディシプリン型 文献批評型 31708 火 1 東アジアの歴史問題に関する歴史学的検証 授業の目標・概要 【共通目標】 31709 火 1 感情の心理学-レビュー論文を執筆する- 授業の目標・概要 【共通目標】 川島 真 小澤 幸世 国際関係 教養教育高度化機構
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