2022Sシラバス
36/364

初年次ゼミナール文科 大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 『雨月物語』という作品の名称はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。『雨月物語』は、江戸時代中期の学者である上田秋成の書いた、いわば「怪談小説集」です。広い意味での「古文」に含まれる文章で書かれていますが、高校の古典の知識があれば、注を頼りにして読むことは難しくありません(受験勉強で鍛えられた皆さんにとっては、むしろ「易しい」といっても良いでしょうし、現代語訳もあります)。九篇の物語のうちには、恋の妄念の話もあれば、友情や政治にまつわる話もあり、誰でも一篇は「面白い」と思える物語があるのではないかと思います。このように『雨月物語』は現代の読者にも「読み物」としてとっつきやすい一方で、作品自体は、日本・中国の様々な典籍の知識が融合することで展開した江戸時代の学問・文学の世界に深く根差しています。『雨月物語』は、間口が広く、かつ奥行きが深い傑作であるといえるでしょう。 授業では、『雨月物語』各編の解釈について報告してもらい、それを土台にして、どのような「読み」が可能で、そして妥当なのかについて議論していきます。報告準備の過程で、重厚な『雨月物語』研究の蓄積の一端に触れることになるでしょうが、先ずは古典作品を楽しく熟読玩味することに重きを置いています。報告と議論を通じて、「読む」という一見単純な営為の複雑さに自覚的になってもらうことを目標としています。 【学術分野】国文・漢文学 【授業形態】文献批評型 大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回目の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 今日の国際関係を占ううえで、民族や宗教にまつわる紛争の制御が依然として重要な課題であることは、昨今の難民問題やテロ事件に言及するまでもなく明らかである。 しかし、とりわけ国際関係を久しく賑わせてきたこうした紛争が、いかなるメカニズムによって発生し、いかに制御・解消できるのかについては、いまだ十分に解明されていない。そもそも論者によって各紛争の捉え方は大きく異なることが常であり、何が客観的で正しい捉え方であるのか判断に窮することも多い。その一因は、民族や宗教がすぐれて主観的な営みであることにある。この授業では、日本国内のものを含む世界の様々な事例を受講生が取り上げながら、人間社会の主要課題の一つである民族・宗教紛争の捉え方を学ぶ。そのことを通じて、人文・社会科学固有の対象である、曖昧さや両義性、主観と客観の不分明さがつきまとう事象への様々なアプローチ方法を体得することを目標とする。 【学術分野】国際関係、社会学 【授業形態】ディシプリン型 31702 月 4 授業の目標・概要 【共通目標】 31703 月 4 授業の目標・概要 【共通目標】 上田秋成『雨月物語』を読む 民族・宗教と紛争 高山 大毅 鶴見 太郎 国文・漢文学 国際関係

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る