2022Sシラバス
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1年 文科 理科 2年 文科 理科 時間割コード 全学体験ゼミナール 31569 S1 授業の目標概要 開講 森に学ぶ SDGsと林業を意識する低山歩きS1 【注意】対面授業(野外実習≒山歩き)に参加可能な学生のみに履修を制限します。菩薩 ■全学体験ゼミナールを履修する場合は、必ずUTASでシラバスを参照し、本冊子には掲載されていない詳細な授業内容等を確認したうえで、履修登録を行ってください。 近年、日本では「線状降水帯」による甚大なる気象害が毎年のように発生するなど、「異常」なほどの気象害が常態化しています。しかし、これは地球規模で洪水と渇水が頻発していることの一面を捉えているに過ぎません。気候変動への取り組みやレジリエントな社会づくりの重要性が言われますが、日本社会は十分な取り組みができているでしょうか。 日本の国土は7割近くが森林に覆われています。7割の面積におよぶ森林をどの様に管理するべきか、考えてみたことはありますか? 山林のことは林業関係者に任せておけば良いですか?他の人は無関心でよいのでしょうか? そして、日本において、その肝心の林業はちゃんと回っているのでしょうか。 日本の林業は外国に比べてコスト高であるため、儲けを出しにくい。儲からない産業には資本が投下されにくい(資本主義から見放される)。 SDGs17の目標の13番目に「気候変動に具体的な対策を」が掲げられています。この度、あえてSDGsとこのゼミを関連付けてみたのは、皆さんにSDGsは特別な難しい目標ではなく、かなり身近な自分たちの生活に直結する目標であることを意識する必要を感じたからに他なりません。 【注意】この体験ゼミは森林・林業を意識するために現地に足を運ぶスタイルをとるため、対面受講できる学生のみが受講することができます。オンライン受講はできないのでご注意ください。 【注意】この授業は山岳部やワンダーフォーゲル部の出身者向けではありません。歩くことが億劫でない限り、参加することができます。山野に興味ある人に、安全に山を楽しんでもらい、同時に山や森林で営まれる林業を意識し考えてもらうために実施する講義です。人並みの体力は必要ですが、山歩きとしては初級向けですので誰でも参加できます。 あなたはハイキングや山野を歩くことが好きでしょうか。 このゼミは東京近郊の身近な山を森林・林業を意識しながら歩く機会を提供することを目的に立ち上げた講義です。 もともと、夏学期には富良野の大自然の中にお連れして、北海道演習林で林業と向き合うゼミと、冬学期に舞台を東京近郊の低山に移して提供して来たプログラムです。 昨年度は、新型コロナウイルスの影響により北海道にお連れできなかったために、夏学期にも東京近郊の低山にお連れすることにしました。ところが、低山を林業を意識しながら6山歩いてみると、これがなかなかに味わい深いゼミであることを見出すことになりました。このS1ターム低山ゼミで3山、S2ターム低山ゼミで3山歩くことにしています。 森林・林業を意識する? 山歩きはとても気持ちいいものです。色々なことをくよくよ考えたり、せわしなく過ごしたりしがちな日常生活から距離をとる。山歩きをしているその瞬間は、そう言った日常をすっかり忘れて、ただ歩くことのみに気持ちを向かわせることができます。それもまたよし。 無心に山野を歩くのも好いですが、このゼミでは森林を意識する・林業を意識するという視点を持って歩くことを提案します。意識を働かせることで見え方がグッと変わってくることを体験してもらいたい。 私たちが生きる現代社会の特徴 私たちが生きる現代社会は、いろいろなプロセスが見えづらい時代であると捉えることができます。構造が複雑になりブラックボックス化が進んでいることもその一因であるでしょう。しかし、それが原因だから仕方がないと片付けてしまえばそれまでです。複雑で忙しい日々を過ごすうちに、思考を節約して簡単に済ませる術を身に着けるという、いわば生活習慣によって観察できない状態に追い込まれていると捉えることはできないでしょうか。 このゼミでは忙しなく歩くような山歩きはしません。まわりの植物をゆっくりと観察できるくらいの歩調で、時に立ち止りながら山林の中に身を置きます。ゆっくりと歩き、時に立ち止ることで見える量も質も大きく異なってきます。 資本主義経済が支配する社会では 資本主義は資本を投下して、利益を効率よく回収することを目的とします。利益を回収しづらい「林業」は資本主義経済の対象となりにくくなっています。それでは、日本社会に林業は不要でしょうか。林業をしないのであれば、山林も不要でしょうか。不要な山林は外資に売り払って現金化するのが妥当でしょうか。 このゼミではたっぷりとその様なことを考えてもらいたい。 何か正解を見つけに山歩きをするわけではありません。知れば知るほど難しい問題になるのかも知れませんし、一つだけ正解がある問題とは限りません。よく考えてみることそれ自体がこのゼミの目的と言えそうです。 よく考えたあとで、仕上げにもう一度大自然の中に身を置いてみよう。 新型コロナウイルスが収まりましたら、今年度は姉妹ゼミ「森に学ぶ(ふらの)」も実施する計画を立てています。こちらも是非どうぞ。 講義題目 担当教員 鴨田 重裕 所属 曜限 単位 農学部 集中 2 対象

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