1年 文科 理科 2年 文科 理科 原 裕太 本授業は地理学を専門とし,農山村でフィールドワークを行う教員2名が開講する。 SDGsが国連総会で採択されてから早6年が経過し,世の中でもよく取り上げられるようになった。一方で,本来の理念はあまり浸透していないのが実情である。SDGsの主文にあたる「2030アジェンダ」では,自然環境と調和した社会を目指すこと,一人一人の潜在能力を最大限引き出せる,誰一人取り残さない未来を目指すことが最も重視されている。それとともに,それぞれの目標を不可分なものと位置づけ,幅広い視野で多角的,分野横断的に物事を考えることも,SDGsの重要な考え方である。 本講義では以上の理念を踏まえ,世界が抱える,気候変動,自然災害,環境汚染,貧困・格差,感染症の拡大,社会対立といった重大な問題を,とくに日本を含むアジアに焦点を当てて総合的に考える。 環境問題・社会問題は,既存の教科や研究領域を大きく越えて相互に複雑に結びついている。ある問題への改善策が,別の問題を引き起こしてしまうこともある。つまり,限られた研究領域や狭い空間範囲,短い時間スケールだけにとらわれていては,課題解決がうまく進まない,場合によっては決定的な誤りを生む可能性さえある,ということである。ぜひ,それぞれの専門分野に進む前に,分野横断的に考える視点を獲得してもらいたい。それが本講義の大きな目的の一つである。SDGsの制度的課題や限界性,よりよい枠組みについても議論したい。 また授業と並行して,履修者には各自の視点で東大のサステイナビリティ(自然環境との共生,インクルージョン,ダイバーシティの尊重等)を評価し,改善に向けた具体的な提案を考えもらう。授業終盤には発表の機会を設ける(具体的な方法は,COVID-19の状況および履修者の数等により決定する)。メンバー全員での意見交換も行う予定である。持続可能な社会を実現する上で,政策立案や研究開発,事業活動を通じた関与だけが重要なのではない。同時に,自己や身近な周囲,所属集団について見つめ直し,改善のアクションへ繋げることも不可欠である。授業で学んだ知見を活かし,学生の目線で,私たちが所属する東大のいまを評価してもらいたい。優れた提言については,教養学部SDGs教育推進プラットフォーム等で共有し,今後の教育研究や運営面の改善に活用するつもりである。レポートは自身が発表した内容をまとめることとする。なお,当該ワークでは,学術情報の収集,見やすい資料の作成,データ表現法についても随時サポートし,分野横断的なコミュニケーションのための基礎的スキルの習得を目指す。 【到達目標】 1.「持続可能な発展(Sustainable Development)」やSDGsの理念についての理解を深める 2.自然環境や人間社会に関わる諸要素の知識を用いて,各地域の環境問題・社会問題に多角的にアプローチできるようになる。 3.自然環境に関わる視点から,日本とアジアの社会,歴史,文化を理解する。 4.中国や外部講師の調査地域を事例に,様々な環境問題・社会問題の現状と対策を知り,とくに発展途上国・新興国における問題の複雑性について理解する。 A 時間割コード 全学自由研究ゼミナール 51291 授業の目標概要 【概要】 開講 アジアのフィールドで問う 未来のかたち SDGsとその先へ: 講義題目 担当教員 永田 淳嗣 教養教育高度化機構 水 5 所属 曜限 単位 対象 2
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