2021Sシラバス
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初年次ゼミナール文科 31584 木 2 文化人類学の考え方ー民族誌的思考力を養うー 授業の目標・概要 【共通目標】 31585 木 2 授業の目標・概要 【共通目標】 大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回目の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 文化人類学は20世紀初頭から一貫してフィールドワークを基本的な学問的方法として用いてきた。フィールドワークとは一体どんな作業だろうか。一般的な用法に従えば、それは、現実に触れること、その中で、自分が持っていた知識・知見の意味を確かめつつ、研究のためのデータを得ること、ということになるかもしれない。 しかし、「未開」社会の人々の生を理解するという営みから出発した、文化人類学独特のフィールドワークには、それよりもずっと強くかつ重い意味がある。自分とは異なる人々の、異なった考え方や生き方に触れ、それに惹かれること。それを通じて、それまで考えても見なかった仕方で世界を眺め直してみること。こうした文化人類学的フィールドワークの手続きは、今日では、現代を生きる人々のさまざまな現実(企業や工場や高齢者施設、証券取引所や先端科学のラボ、そしてインターネット上のヴァーチャル空間など)にアプローチするために広く用いられている。 本当の意味での文化人類学的フィールドワークは時間のかかる作業であり、初年次ゼミの制約の中で、人類学的な考え方を裏切ることなくその研究手法を身につけることは困難である。そこで、この授業では別の方法でアプローチしてみたい。文化人類学的方法をもっともよく示すものは、文化人類学者が長期間のフィールドワークの経験をもとに、様々な考察を重ねたうえで書いた、「民族誌」と呼ばれるタイプの著作である。この授業では、授業参加者が、自らの関心にあった民族誌的著作を選び、それを自分なりに奥深く咀嚼する中でーーさらに関連文献を読んだり、オンラインの視聴覚的素材を活用したりする中で(テーマによっては若干のオンラインフィールドワークも行う中で)ーー小論文を作成するという形をとる。それにより、中途半端なフィールドワークをするのよりも確実に、文化人類学的な考え方に接近することができると思われる。 「民族誌的アプローチ」のエッセンスを一言で言えば、生の現実の全体に徹底的に寄り添って考える、ということであり、それについて学ぶことの意味は、必ずしも文化人類学という学問分野に限られるものではない。むしろ、広く学問および人生における様々な「学び」の場面において役立ちうるものだと思う。 【学術分野】文化人類学 【授業形態】ゼミナール型 ※この授業は、ディシプリン・フィールド・文献批評のどれとも関わるが、どのタイプにも当てはまらない。作業の中心は、「文化人類学」という学問分野をぼんやり意識しつつ(強く意識する必要はない)、自分の研究テーマを立て、それを掘り下げ、それについて発表しまた議論し、論文を書く、という作業を行う中で、大学レベルでの「研究」の過程について学ぶことである。 成績評価方法 出席、発表および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 授業のキーワード 民族誌、フィールド、経験、他なるもの、生 教科書は使用しない。/Will not use textbook 教科書 ガイダンス 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回目の合同授業で学ぶ。 【この授業の目標・概要】 情報通信技術(ICT)と地理情報技術(GPSなど)の発達・普及に伴い、多種多様なものを「地図で見せる」ことが重要視されるようになった。一方、「地図で見えるようにする」ことには様々な社会的・倫理的問題がつきまとう。また、誰もが「地図による可視化」の恩恵にあずかれるとは限らない。 この授業では、地理学・地図学・地理情報科学の立場から、世の中に存在する様々な地図(新聞、雑誌、テレビ、ウェブサイトなどで目にする地図)について批判的に思考し、「地図で見せる」ことを重視する社会について考える。具体的には、担当教員による地図批評に関する講義、受講生による研究テーマの設定、先行研究のレビュー、地図批評の実践(必要に応じてフィールドワーク)、それらの結果に関する報告と討論を行う。最終的にそれらを踏まえて小論文を作成してもらう。 【学術分野】人文地理学 【授業形態】ディシプリン型・フィールド型 出席、発表および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 成績評価方法 授業のキーワード 地図学、地理情報科学、地図批評、可視化 教科書は使用しない。/Will not use textbook 教科書 ガイダンス 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 地図から社会を考える 箭内 匡 田中 雅大 文化人類学 人文地理学

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