2021Sシラバス
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全学体験ゼミナール 40270 S2 授業の目標概要 ■全学体験ゼミナールを履修する場合は、必ずUTASでシラバスを参照し、本冊子には掲載されていない詳細な授業内容等を確認したうえで、履修登録を行ってください。 見え易い目標として、伊豆に学ぶ(夏)伊豆編S1で自分で焼いた竹炭を実際に石窯料理に使用することが上げられる。表向きはそれで構わないが、少し見えにくい目標がいくつもあると思って本ゼミに臨んでいただきたい。 近年、日本では「線状降水帯」による甚大なる気象害が毎年のように発生するなど、「異常」なほどの気象害が常態化しています。しかし、これは地球規模で洪水と渇水が頻発していることの一面を捉えているに過ぎません。気候変動への取り組みやレジリエントな社会づくりの重要性が言われますが、日本社会は十分な取り組みができているでしょうか。 日本の国土は7割近くが森林に覆われています。7割の面積におよぶ森林をどの様に管理するべきか、考えてみたことはありますか? 山林のことは林業関係者に任せておけば良いですか?他の人は無関心でよいのでしょうか? そして、日本において、その肝心の林業はちゃんと回っているのでしょうか。 【注目ポイント】 本体験ゼミは、人の営みと自然との関係について、体験を通して学びます。農学部が主宰するゼミですが、農学部以外の学部に進学する学生にも知ってもらいたい農学分野のことを話題にあげます。理系的な知識の有無を前提としないので、文系学生にとっても意義深いゼミになるはずです。理系文系を問わず、日本の山林をどうするべきかに興味を持ってもらいたい、そして日本社会の行く末を考えるきっかけとしていただきたい。 大学で学び始める学生に受講いただくことを強く意識している講義です。(2年生でも間に合いますが、)1年時の受講をお奨めします。 ※「伊豆に学ぶ(夏)東京編」「伊豆に学ぶ(夏)伊豆編」をセットで履修することをお勧めします。 ※コロナ禍のなかった世界では、本ゼミは東大生を伊豆にお連れして、楽しい体験の中に大切な学びがあることを見出してもらっておりました。皆がそれぞれの価値観・意見を持ち寄りつつ、しっかりと取り組めば深遠な学びに到達することができた幸せな時代だったのかも知れません。 コロナ渦中にあって、本ゼミは従前のスタイルから一歩踏み出そうとしています。2021年度Sセメスタは宿泊を伴う講義を実施できません。その状況は、必然的に伊豆でしかできないことと東京でも何とかできることの仕分けを迫ります。 「伊豆に学ぶ(夏)東京編」は伊豆にお連れしなくても実施可能なアクティビティで構成します。ここまでの流れから、伊豆でなくても実施できると書いてしまうと、あまり重要ではないアクティビティの寄せ集めではないか?と訝しく思うかもしれません。 心配はご無用です。伊豆で実施して来たアクティビティを東京に持ち込んで実施できそうだという話です。具体としては、薪割りの体験と石窯料理(イノシシピザ)体験を実施する予定です。 一方の「伊豆に学ぶ(夏)伊豆編」では伊豆の地でないと実施困難なアクティビティを実施します。日帰りとなるので、限られた時間しかありませんが、その時間を贅沢に使います。(伊豆の滞在時間を稼ぐために、東京駅始発の新幹線こだま号をご利用ください。) 東京編・伊豆編のどちらかが優れているということはないと思っています。是非、両方とも受講していただきたいというのが本音です。 以下は、従前の伊豆ゼミのシラバスです。ゼミの世界観は従前の通りにしたい思いがあるので、雰囲気をお伝えするためにもあえてそのまま残しておきます。 樹芸研究所と聞いて何する所?と思われただろうか。私たちは「樹芸」を樹に親しみ、樹を暮らしに役立て、樹を育むことを包含することと定義している。樹芸研究所が 開講する一連の体験ゼミ(通称:伊豆ゼミ)は「人の暮らしと生態系の関わり」を基調に、「樹芸」体験を盛り込んで、学ぶことの原点を見直すことに重きを置いている。現代社会において見えにくくなっている様々な「つながり」を意識の俎上にあげる構成をとる。「森林を観る」とはどういうことなのか。植生が違うとどういう違いが生じるのかなど、そんな「森林」に関する「?」を現物をそっくりそのまま見て、触って実感してもらいたい。理屈をこねまわすよりも、実物を見て「何をどう感じるか」ということを大事にする。 伊豆ゼミの舞台となる樹芸研究所と下賀茂寮のある伊豆半島は、その昔フィリピン海プレートに乗って海底火山が北上し、その海洋プレートが大陸プレートに潜り込む際に、本州に衝突して陸地となったという。猿人や原人がいた頃の話でそう古くない。また、日本においてフィリピン海プレートに乗る点で、他地域とは何か足元から違うような気分になってくる。少々こじつけに過ぎたかも知れないが、斯様に伊豆半島は海と縁の深い地である。伊豆半島は黒潮に突き出す格好であるので、その気候は海の影響を強く受ける。海はまた陸から注ぐ川の影響を受ける。本体験ゼミナールが目指すものは、伊豆半島の自然を満喫すること、その自然と人との繋がりを学ぶことである。基調テーマは「人の暮らしと生態系の関わり」。そこに「樹芸」体験を盛り込み、自分の手、足、目、耳、鼻など体全体を駆使して、おもしろく、楽しく学んでいただく。「海」といえば「泳ぐ」と短絡する向きもあろうが、このゼミはただ海で泳ぐようなゼミではない。少しアカデミックな視点を取り入れた海の楽しみ方や山の楽しみ方など、普段の講義では学べない様々なことを体験してもらうことにしている。本ゼミのメインディッ シュは薪炭林実習。何故、燃料革命なるものが興ったか、身をもって思い知った後、薪の素晴らしさを石窯にて存分に体験していただく。ふだん何気なく当たり前の様に使っているエネルギーのありがたさを感じられたらしめたものである。汗を流した後は、火山半島ならではの、東大印の天然かけ流し温泉につかりながら、プレートテクトニクスに思いを馳せるもまた良し。 本ゼミの特徴の一つと言える森林教育プログラム作成・実施するというアクティビティの存在も大きい。伊豆ゼミを体験した後に、皆で協力して体験プログラムの作成に取り組み、他のゼミ生を参加者に見立てて実施するというもの。プログラムを作る側に立つことで、体験ゼミの仕組みやゼミで何を伝えたいかといったことを、より実感を伴って理解することができよう。 「伊豆に学ぶ」に参加した者の多くは学びの原点回帰を体験できたような気分になる。果たしてそれは夢なのだろうか、はたまた幻なのだろうか。是非ご自身で確かめていただきたい。スタッフ一同丁寧に準備してお待ちしている。 2 時間割コード 開講 伊豆に学ぶ(夏)東京編S2 弥生で薪割り&石窯ピザ体験 ※この講義は対面形式で実施し講義題目 ます。 担当教員 鴨田 重裕 所属 曜限 単位 農学部 集中 対象 1年 文科 理科 2年 文科 理科

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