2021Sシラバス
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総合科目 E(物質・生命) 30031 S 構造生命科学概論(アドバンスト理科IV) 講義題目 授業の目標概要 我々ヒトは約2万種類の遺伝子を持っており、遺伝子によってコードされたタンパク質は驚くほど多様な機能を発揮する。例えば我々が眼で物を見ることができるのはロドプシンと呼ばれる膜タンパク質が光を受容し、その情報を細胞内に伝えるためであり、我々が記憶や情動といった複雑な脳機能を発揮するのは、元を辿ればカリウムイオンチャネルやナトリウムイオンチャネルといった膜タンパク質が適切なタイミングで特定のイオン種を細胞内外へ輸送するためである。しかし、タンパク質が「光を受容し、その情報を細胞内に伝える」とは一体どういうことだろうか。タンパク質が「適切なタイミングで特定のイオンだけを輸送する」とは、原子レベルで考えた時に一体何が起こっているのだろうか。化学的に見ると「20種類のアミノ酸が連なった鎖」に過ぎないタンパク質がこれだけ多彩な機能を示すのは、タンパク質がそのアミノ酸の種類や並び方によって特定の立体構造に折り畳まれ、その複雑な形に応じて機能を発揮するためである。タンパク質の複雑な機能を理解するためにはその形を理解することが肝要であり、それを可能としてくれるのがタンパク質立体構造解析であり、構造生物学(構造生命科学)である。本講義では、タンパク質立体構造解析の手法の中でも、その手法開発や関連研究について20以上のノーベル賞が送られているX線結晶構造解析、クライオ電子顕微鏡法に焦点を当て、その原理や実例を紹介する。さらには、タンパク質の構造から一体どういった情報を読み取ることができるのか、タンパク質の構造情報を用いることで一体何ができるようになるのか、タンパク質エンジニアリングや創薬などを例に交え、講義と簡単な演習を行う予定である。 なお、受講者数を20名程度に制限するので、ガイダンス時に生命科学や生物物理への興味と学習意欲に関する調査を行う。その結果、1週間以内に、第二回以降の受講対象者の学生証番号をアドバンスト理科のホームページに掲載する。 時間割コード 開講 授業科目名 先進科学Ⅳα 担当教員 加藤 英明 所属 先進科学 月 5 曜限 対象 1年 文科 理科 2年 文科 理科

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