2021Sシラバス
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総合科目 E(物質・生命) 時間割コード 30366 S 分子認識と分子自己集合 講義題目 授業の目標概要 殆どの場合,分子は孤立して存在するというより,常に他の分子と相互作用している.特に溶液中では,必ず分子間における相互作用が存在する.このような分子間相互作用は分子骨格を形成する化学結合(共有結合)に比べとても弱いが,分子間相互作用が生命系の複雑な仕組みと深く関わり,秩序立ったシステムの形成・維持に寄与している.本授業では,ほぼ全ての分子間相互作用を扱い,さらに分子間相互作用の理解を深めるため,分子軌道により解釈される共有結合との比較も行う. 水素結合やファンデルワールス力は分子間相互作用の一つで,高校化学の教科書でも取り扱われている.しかし,分子間相互作用について,いくつもの基本的な疑問がある.水素結合はどういう元素間で形成されやすく,なぜそうなるのか?DNAの塩基対は水素結合で形成されているが,ATペアよりGCペアの方が強いのはなぜか?単に水素結合の数だけで説明して良いのか?タンパク質はポリペプチドから形成され,アミド間の水素結合により一義構造へ折り畳まれるが,なぜアミド結合が選ばれたのか?なぜ水に溶けにくい物質は水を嫌って集合化するのか?また,水以外にこのような特性を示す溶媒は存在するのか?ファンデルワールス力は分子間相互作用の中で最も弱いが,無視できるほど弱いのか?分子が自発的に集合し,秩序構造を形成する自己集合という現象は,生命システムの形成に欠かせないが,どうやって自己集合体が形成されるのか?自己集合も化学反応の一つだが,その反応機構は,一般的な化学反応と同じような考え方で解釈できるのか? 本授業では,これらの問題について「分子間相互作用」というキーワードをもとに合理的に考え,結論を導き出していく. 授業科目名 開講 超分子化学 担当教員 平岡 秀一 所属 化学 火 2 曜限 対象 2年 理科

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