1年 文科 2年 文科 月 3 1年 文科 2年 文科 火 5 1年 文科 2年 文科 月 3 基礎科目 人文科学 時間割コード 時間割コード 時間割コード 基礎科目 人文科学 50117 A 講義題目 授業の目標概要 古代の言語が有した「中動態Middle Voice」という態の分析を通じて、「意志」、「責任」、「行為」、「権力」、「選択」などの概念について考えます。哲学をベースとしつつ、言語学、医学、政治理論など多分野の研究成果を参考にしながら進めていく講義になります。 私たちはいつも行為を能動と受動に分類します。「する」なら能動、「される」なら受動です。しかし実際の行為はそう簡単にどちらかに分類できるものではありません。たとえば哲学者ハンナ・アレントは、銃で脅された人が自分のお金を相手に手渡すという行為について分析していますが、この行為は能動でしょうか受動でしょうか。同様の例はいくらでもあげることができるでしょう。 能動と受動の区別は、私たちが英文法などで学ぶ能動態と受動態の区別に由来するものと考えることができます。私たちが学んだのは、態には能動態の受動態の二つがあり、そしてその二つしかないということです。一度この区別に親しんでしまうと、これは必須のものに思えてきます。しかし言語学者エミール・バンヴェニストが明らかにしたように、この区別は少しも普遍的ではなく、多くの言語がこの区別を知りません。 また歴史的に見ても、比較的新しい時代につくられた区別であることが分かっています。というのも、かつて印欧語の動詞は、能動態と受動態の対立ではなく、能動態と中動態の対立の中にあったからです。動詞の意味は今とは全く異なる仕方で配分されていました。言い換えれば、動詞は途方もない変革を経て今に至っているということです。 この変革はなぜ起こったのでしょうか? この問いを突き詰めていくと、それが「意志」と「責任」という概念に関わっていることが分かります。またこの問いを通じて、様々な哲学者の概念に接近することができます。ミシェル・フーコーの「権力」、マルティン・ハイデガーの「放下」、スピノザの「自由」など、様々な哲学者の概念が中動態と深い関係にあるからです。 これらの哲学者の助けを借りながら、上にキーワードとして掲げた「意志」「責任」「行為」「権力」「選択」を分析していきます。これらはいずれも現代社会を考える上で避けて通ることのできない概念です。この講義は、現代社会の諸問題に古代の言語から迫っていく試みであると言えます。 50446 A 講義題目 授業の目標概要 西洋哲学の基礎を、その原点に即しながら学ぶ。具体的には、古代ギリシアの哲学者アリストテレスの『ニコマコス倫理学』と、西洋中世の哲学者トマス・アクィナスの『神学大全』を中心に、基本的なテクストを抜粋し、日本語で丁寧に読解していく。関連する範囲で、他の哲学者のテクストも読解する。 50118 A 講義題目 授業の目標概要 開講 授業科目名 哲学Ⅱ 開講 授業科目名 哲学Ⅱ 哲学の原典を読む 開講 授業科目名 倫理Ⅱ 意志と責任について──中動態から考える 〈いのち〉と〈ひと〉のいまを問う In order to have a sense of who we are, we have to have a notion of how we have become, and of where we are going. Charles Taylor 私たちは今日、いのちとひとをめぐって倫理的にどのような状況にあるのだろうか。またその状況は、どのようにして今日あるようになったのだろうか。どのような明日をもたらしうるのだろうか。 この授業ではこうした問いについて考えてゆきたい。その過程において、私たちの生・病・老・死を取り囲んでいるいわば「4つのbio」――生権力(biopower)・生政治(biopolitics)・生命倫理(bioethics)・生命科学技術(biotechnology)――を歴史的・批判的に検討することになるだろう。 したがって、倫理の諸理論を概説するという形はとらない。むしろ過去の、また現在の具体的な事例をとりあげ、そこにどのような問題を見いだすか、それらをどのように考えるかに関して一つの視座を示すことをつうじて、受講者一人ひとりが「ひととして限りあるいのちをいかに生きるべきか」という問いを自ら探究する手がかりを提供したいと思っている。 担当教員 國分 功一郎 担当教員 山本 芳久 担当教員 田中 智彦 所属 哲学・科学史 所属 哲学・科学史 所属 哲学・科学史 曜限 曜限 曜限 対象 対象 対象
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