1年 文科 理科 2年 文科 理科 1年 文科 理科 2年 文科 理科 時間割コード 時間割コード 総合科目 E(物質・生命) 50978 A 講義題目 授業の目標概要 「生命の神秘」を見たとき、それを物理学で説明できたならば、その「神秘さ」は失われてしまうでしょうか。あるいは、「物質の神秘さ」をもたらすでしょうか。皆さんの答えがそのどちらであったとしても、生命現象の根底には数多くの物理法則が存在しています。例えば、細胞運動ではタンパク質溶液の液体-固体相転移(ゾル―ゲル相転移)やタンパク質の反応拡散波が鍵となります。また近年、細胞内ではタンパク質や核酸が会合し、膜を持たないオルガネラとして機能することが分かってきました。相分離と呼ばれるこの現象の原理は、ドレッシングにみられる水と油の分離と同じものです。しかし、理論的に記述できる試験菅中での相分離や相転移と細胞内での振る舞いには違いがあり、説明できない点も多く存在します。こうした溝を埋めるべく、生物学と物理学が協力して研究を展開してきています。本講義では、物理学で説明できる(はずの)物質と生物の境界を明確化することで、現在の物理学で説明できる「物質の神秘さ」や説明できない「生命の神秘さ」を味わうことを目指します。そのため、物理学は得意ではないけれど好きな生物学を極めたい、あるいは、生物学は得意ではないけれど物理学を極めたい、という方を歓迎します。 本講義の前半では、ソフトという力学的性質の定義から、従来の気体・液体・個体とは異なるソフトマター全般の力学的性質について理解します。その後、生物細胞を題材に力学や熱力学、統計力学の知識を総動員しながら、生命を特徴付ける「生物の形、物質の移送、運動」といった現象について物理的に表現します。さらに、物質である人工細胞と生細胞を実際に観察したり、マイクロキャピラリーと呼ばれる非常に細いガラス管を操作して直接操作したりすることによる、生物らしさの体験も行います。 授業では、講義に加えてデモ実験も行うため、人数を20人程度に制限します。そのため、受講希望者が20名を超える場合には、ガイダンス時に基礎学力の確認と、生物学と物理学の複合領域への学習意欲に関する調査による選抜を行います。提示した課題は、以下に書いた通りITC-LMSに掲示されていますが、見られなかった人は柳澤へメールにて問い合わせてください。また選抜試験を行った場合、優3割ルールの適用外となり、成績は3割を超えて有を与える場合があります。 50979 A 講義題目 授業の目標概要 我々ヒトは約2万種類の遺伝子を持っており、遺伝子によってコードされたタンパク質は驚くほど多様な機能を発揮する。例えば我々が眼で物を見ることができるのはロドプシンと呼ばれる膜タンパク質が光を受容し、その情報を細胞内に伝えるためであり、我々が記憶や情動といった複雑な脳機能を発揮するのは、元を辿ればカリウムイオンチャネルやナトリウムイオンチャネルといった膜タンパク質が適切なタイミングで特定のイオン種を細胞内外へ輸送するためである。しかし、タンパク質が「光を受容し、その情報を細胞内に伝える」とは一体どういうことだろうか。タンパク質が「適切なタイミングで特定のイオンだけを輸送する」とは、原子レベルで考えた時に一体何が起こっているのだろうか。化学的に見ると「20種類のアミノ酸が連なった鎖」に過ぎないタンパク質がこれだけ多彩な機能を示すのは、タンパク質がそのアミノ酸の種類や並び方によって特定の立体構造に折り畳まれ、その複雑な形に応じて機能を発揮するためである。タンパク質の複雑な機能を理解するためにはその形を理解することが肝要であり、それを可能としてくれるのがタンパク質立体構造解析であり、構造生物学(構造生命科学)である。本講義では、タンパク質立体構造解析の手法の中でも、その手法開発や関連研究について20以上のノーベル賞が送られているX線結晶構造解析、クライオ電子顕微鏡法に焦点を当て、その原理や実例を紹介する。さらには、タンパク質の構造から一体どういった情報を読み取ることができるのか、タンパク質の構造情報を用いることで一体何ができるようになるのか、タンパク質エンジニアリングや創薬などを例に交え、講義と簡単な演習を行う予定である。 なお、受講者数を20名程度に制限するので、ガイダンス時に生命科学や生物物理への興味と学習意欲に関する調査を行う。その結果、1週間以内に、第二回以降の受講対象者の学生証番号をアドバンスト理科のホームページに掲載する。 開講 授業科目名 先進科学Ⅲα 開講 授業科目名 先進科学Ⅳα 物理学による生命の記述(アドバンスト理科) 構造生命科学概論(アドバンスト理科IV) 担当教員 柳澤 実穂 先進科学 金 2 担当教員 加藤 英明 先進科学 金 2 所属 曜限 所属 曜限 対象 対象
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