2020Sシラバス
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水 2 水 2 初年次ゼミナール理科 31487 授業の目標・概要 『とても堅くて、どんな鋭い矛(ほこ)でも突き通せない楯』― そんな不可能を可能にする学問について考えてみましょう。実際,社会から科学技術への期待や要求の中には,不可能とさえ思えるほどの無理難題が多くあります。一般には,強固な物質はしなやかな変形ができません。電気抵抗の小さな材料は電流をよく通しますが,高い電圧をかけられません。これらの全く異なる要求を両立させることはとても困難に見えるかもしれません。しかし,もし2つの相反する要求(トレードオフ)を満たす物質が作り出せるとしたら・・・材料科学には,そんな一見すると不可能にみえる要求を実現するという重要な使命があります。例えば,強くてタフな材料,低抵抗になったり高抵抗になったりする材料。社会が求める機能を発揮させるように生み出された新しい材料(マテリアル)が,現代の技術革新(ブレークスルー)には重要な役割を果たしています。 本講義は,そんな最先端の材料科学について基礎を学びます。材料技術の進展によって,原子レベルに至る微細構造を制御することが可能になりつつあり,所望の特性を持つ材料を自由に設計して創り出せる時代は,すぐそこまで来ています。この授業では,高強度材料や電子デバイス材料,医療用材料などの技術についての解説文を題材としながら,いかにして相反する要求(トレードオフ)を克服する技術を生み出すことができるのか,その基礎を学びます。これらの実例を通じ,社会に貢献するための科学技術とは何かを体感してください。 【 題材の例 】 1) 超高強度材料を目指せ: 持続可能な社会を可能にするためには輸送機器の軽量化と安全性の両立が不可欠であり,今までにない強くて伸びる新材料の開発が求められています。これを実現可能とするための,最先端の材料研究を調査します。 2) 電流のオン/オフを変えられる材料とその仕組み:情報機器の頭脳となる集積回路では微細加⼯されたトランジスタが何億個も並び,それぞれの材料中の電流がオン・オフと切り替わって動作します。どのようにこのスイッチを実現するのか,最先端電子デバイスの材料と構造を調査します。 3) ハイドロゲルの医用応用:ハイドロゲルは、90%程度の水と10%程度の網目状高分子から出来ています。その組成は、生体軟組織と極めて近く、医用材料として注目を集めています。医用応用を行う上で、どのような材料設計が重要になるのか、最先端の医用材料について調査します。 【 授業の目標 】 学術論文の構成を知り,学術研究を行ううえでの基礎を身につけます。調査・研究とグループ討議や研究発表を通じ,学術的なコミュニケーション能⼒を身につけます。材料科学を題材にしながら基礎研究と最先端技術との関連についての実例を学び,科学技術が社会にどのように関わり,貢献することができるのかを議論し,理解を深めます。 初年次ゼミナール理科の評価方法によって評価します。 プリントを配布する。/Will distribute handouts 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 31519 31524 授業の目標・概要 薬学部では、生命現象の理解を究めつつ、最終的なアウトプットとして創薬を視野に入れた研究を行っています。生命現象を深く理解するためには、生物を構成する最小単位である細胞のことを詳しく知る必要があります。そして細胞のことを詳しく知る方法として正常な細胞と正常でない細胞を比較し、その違いがどこから生じているのか調べることはとても有効な手段です。数多ある病気の原因は各々ですが、究極的には特定の細胞の機能異常が病気を引き起こしているとみなすことができます。これはすなわち病気の原因を探ることが正常な細胞の本来あるべき姿を知る手がかりにもなることを意味します。 このゼミナールでは創薬の対象となりうる各種の病気やその発症原因について学習しながら、正常な細胞の姿の一端を知ることを目的とします。さらにそれらの疾患を治療するためにはどのような戦略を取り、どのような創薬ストラタジーがあるかということをグループで考え、プレゼンテーションも行います。これらの作業を通じて文献やデータベースの探索方法、グループディスカッションの仕方、わかりやすいスライドの作成・発表方法などの習得も目指します。 初年次ゼミナール理科の評価方法によって評価します。 教科書は使用しない。/Will not use textbook 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 成績評価方法 授業のキーワード 論文読解型、材料⼯学、構造材料、電子デバイス材料、高分子ゲル 教科書 ガイダンス 授業の目標・概要 地球上の全ての生物は資源を消費することによって生命を維持しているが、その資源は有限であるにも拘らず、多様な生物と環境の調和によって形成される生命維持システムの働きで生物は今日まで生存してきた。しかし、その機能していた生命維持システムは崩れ始めている。 現在、地球規模で⼈口爆発と砂漠化が同時進行しており、食料不足は極めて深刻である。一方、豊かな生活を求めて⼈類が作り出した物質が引き起こした環境汚染は陸圏、水圏、大気圏に及び、他方で資源エネルギーを大幅に消耗した。このままの状況が続けば、⼈類社会の維持・発展は極めて困難になる。 本ゼミナールでは、⼈類生存にとって不可欠な食料生産について、その背景にある問題点を整理し、持続可能な食糧生産について討論することで考えを深める。 初年次ゼミナール理科の評価方法によって評価します。 教科書は使用しない。/Will not use textbook 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 成績評価方法 授業のキーワード 「問題発見・解決型」、「⼈口爆発」、「気候変動、「環境負荷」、「農業生産」、「水産資源管理」 教科書 ガイダンス 成績評価方法 授業のキーワード 論文読解型・問題解決型、生物学/薬学、細胞生物学、分子生物学、創薬、グループワーク 教科書 ガイダンス K402 E35教室 K303 水 2 材料科学の最前線 考える 南部 将一 高橋 一生 名黒 功 ⼯学部 農学部 薬学部 初年次ゼミ 食糧生産の持続可能性を薬学を支える生物学の役割と貢献

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