大学では「問い」の「答え」を探求する前にまず「問い」自体を自分で見つける必要があるという点を理解し、学ぶ姿勢の根本的な転換を目指す。授業を通じて「問い」の立て方、「理論」についての考え方、「研究方法」の設定の仕方、学術資料の収集の仕方、議論の根拠の導き方、論述の組み立て方などのアカデミックスキルに触れ、それらを習得する。また、自分が取り組む「問い」が学術的・社会的に意義のある「問い」であることを主張する必要性を理解する。 「問い」の「答え」を導くに当たって必要な、先行研究の理解とオリジナリティの主張の方法(剽窃の防止を含む)、議論と根拠の関係などといったより基礎的な作法および図書館などの研究リソースの利用方法を、第2回目の合同授業で学ぶ。 数学的因果関係(関数or函数)かはともかく、「因果関係こそ、あらゆる学問の出発点」という認識には誰しも同意せざるを得まい。歴史家でさえ、見た目は混沌とした史実を理路整然とした手法で分類・再分類する必要がある。その際、信憑性の高い、具体的な因果関係が動かぬ決め手。本講義は「因果関係を明確にする」というキャッチフレーズをかかげて、基礎練習を体に叩き込ませる。初年次ゼミナールを「料理教室」に喩えてみよう。フレンチ・イタリアン・中華・トルコのような具体的な「教室名」は決めず、「フライパンの振り方」「包丁の握り方」「野菜掃除の仕方」といった料理教室でのABCと一脈通じる学問の基礎の基礎に注目したい。一例を挙げよう。「因果関係の強さ」「相関係数の大きさ」「最小二乗法」の求め方がちんぷんかんぷんだと、将来、論文は書けそうもない。そこで、表計算ソフトExcelでの「関数」という機能(統計を含む)に着目し、データを示す散布図の作成を皮切りに、回帰線の切片と傾き(最小二乗法)の求め方を明示。「政治」「社会」「経済」「法律」「哲学」(社会科学)の全貌やその一部を鮮やかに浮き彫りするための「プロの料理人」としての技の基本の基本(サッカーで言えば、lifting)を、しっかり身に付けさせたい。なお、「Liftingの回数」(いわば、小論文の技術的要求)は下記の通り。小論文(テーマは自由)には、「回帰線つきの散布図」(しかも、散布図のなかで、最小二乗法による計算結果であるy=a+bxや決定係数などを明記すること)が必須。 ★ITC-LMS(Information Technology Center - Learning Management System)を頻繁にcheck(文章特別講座アリ)。 〇新聞を熟読玩味(小論文のネタ作りに最適)。 【この授業の目標・概要】 【学術分野】法・政治 経済・統計 社会・社会思想史 国際関係 歴史学 国文・漢文学 文化人類学 哲学・科学史 心理・教育学 人文地理学 【授業形態】ディシプリン型 フィールド型 文献批評型 出席、報告および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 教科書は使用しない。/Will not use textbook 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 初年次ゼミナール文科 31772 金 3 授業の目標・概要 【この授業の目標・概要】 31773 金 3 授業の目標・概要 【共通目標】 グローバル化が進む一方で、世界各地で移民・難民排斥運動、外国人嫌いの風潮が高まり、極右政党が台頭しつつある。もはや我々の社会を考える際に、移民の存在を無視することは出来ない。 移民と受け入れ社会での関係構築は古く、そして新しい問題である。その歴史的な連関性を検証することで、現代における我々の移民との共生の可能性を考察することを授業の目標とする。その際、国籍、シティズンシップの基本的な枠組みを理解し、これまでなされた研究を踏まえ、批判する方法を学ぶ中で、自身のテーマと「問い」を見出し、小論文を作成する。 【学術分野】法・政治 社会・社会思想史 国際関係 歴史学 【授業形態】ディシプリン型 出席、報告および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 授業中に指示をする。/Will specify at class time 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 成績評価方法 授業のキーワード 国籍、シティズンシップ、ナショナリズム、右翼、難民 教科書 ガイダンス 成績評価方法 授業のキーワード 基本の基本=プロの技 教科書 ガイダンス K303 118教室 移民社会を考える 因果関係を明確にする 伊東 直美 鍾 非 教養教育高度化機構 教養教育高度化機構
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