1年 理科 2年 理科 月 2 総合科目 E(物質・生命) 30090 S 惑星地球科学Ⅱ(理科生) 評価方法 教科書 ガイダンス 1222教室 時間割コード 開講 授業科目名 担当教員 中村 尚 升本 順夫 地球気候の形成・変動と大気海洋システム 講義題目 授業の目標概要 ノーベル平和賞に輝いたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)から2007年に発表された評価報告書は,地球温暖化と環境変化に関する社会の大きな関心を呼んだが,その後の経済状況の低迷や2011年の原発事故を経て,地球温暖化に関する社会の関心は一見低下したかのように見受けられる.その一方,2018年夏や2019年秋に経験したように,社会に大きな影響を及ぼす猛暑・冷夏,暖冬・寒冬,豪雨・豪雪・旱魃などの異常気象への関心は防災上の観点からも益々高まりつつあり,異常気象と地球温暖化との関連性が依然として指摘されている.こうした折,IPCCから評価報告書が5年前に発表され,地球温暖化への関心が再び高まりつつある.人間活動に伴い二酸化炭素など大気中の温室効果気体の濃度が増加し,地上気温に顕著な上昇傾向が見られるのは紛れもない事実である.IPCC評価報告書に拠れば,今世紀末までには顕著な温暖化が予測されており,海面上昇や海氷域の顕著な減少,海洋の酸性化,中緯度大陸の乾燥化など,地球環境に及ぼす深刻な影響が懸念されている.温暖化対策の切り札の1つとして推進されてきた原子力発電事業が今後縮小される中,再生可能エネルギーへの移行が順調に進まない限り,温暖化リスクがさらに高まる可能性も否定できない.そのような中,2015年末に「パリ協定」が締結され,地球温暖化に対する世界的な取り組みが開始された. このように,温室効果気体の排出や起こり得る環境変化に対して何らかの対策を採ろうとする動きが盛んであるが,そこにまず求められるのは地球気候の成立ちとその過去から現在に至る変遷,さらには温暖化のメカニズムと予測される気候の将来変化に関する科学的理解である.本講義の目的は正にそれであって,地球温暖化を環境問題として社会倫理の観点から論じたり,温暖化の事実のみを盲目的に受け容れた上でその対策について論じたりすることでもない.将来平均状態として温暖化した大気海洋系も,内在する自然変動のために常に揺らぎ,天候変動が各地にもたらされ,異常気象が引き起こされる.また,最新の研究により,温暖化のシグナルがこうした自然気候変動パターンの変化として現れやすいこと,またそれ故に温暖化シグナルの地域予測にある程度の不確実性が不可避なこと,さらには10年規模の長期自然変動により,地球温暖化が加速したり停滞したりすることなどが示唆されている.よって,気候系の自然変動や天候変動のメカニズムの理解を深めることは,温暖化した将来の防災・社会適合上の観点からも重要である.本講義では,受講者が高校で地学を履修してこなかったことを前提とし,地球気候の成り立ちや大気・海洋の循環やその変動のメカニズムの基礎を解説したのち,地球温暖化やオゾンホールに代表される人為的気候変化のメカニズムや予測されている気候への影響について解説する. 期末試験により行なう. 教科書は使用しない。/Will not use textbook 特に行わない。/Will not conduct guidance 所属 宇宙地球科学 曜限 教室 対象
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