1年 文科 理科 全学体験ゼミナール 60223 A2 授業の目標概要 評価方法 教科書 ガイダンス ■全学体験ゼミナールを履修する場合は、必ずUTASでシラバスを参照し、本冊子には掲載されていない詳細な授業内容等を確認したうえで、履修登録を行ってください。 【注意1】web版シラバスに申込方法などの重要な伝達事項を記してあります。長文ですが、必ず良くお読みください。 【注意2】この授業は、開講日程の都合上成績が前期課程修了要件に反映されないことがあるので、履修にあたっては十分にご注意ください。 はじめに 体験ゼミ「伊豆に学ぶ」シリーズは、山のことや自然のことにあまり詳しくない初心者向けの講義です。垣根を低く設定してありますし、分かり易いことと伝わり易いことを心がけて、工夫して組み立てた体験型のゼミですから、知りたいという思いさえあれば、色々なことを学べます。例えば初日に菜の花畑と早咲きの河津桜を見学します。もちろんぼんやり眺めても楽しめる装置であることは間違いありません。あなたが観光客ならば「わー。きれい! 超ヤバー」とか言っていればいいのかも知れません。でも、ゼミの視点で眺めてみると、そこからも数々の学びや気付きを引き出すことができることに気付きます。そして、ゼミでその様な取り組みをする方が、ずっとおもしろいことに気付くはずです。このように伊豆ゼミでは、受講学生それぞれが感じることと考えることを特に大切にしています。 また、伊豆ゼミでは東大生のまじめな一面を引き出して、一人一人が魅力ある人格として、相互に作用しあったり高めあったりするそういった「場」を提供したいと考えています。東京大学が総合大学であることを満喫していただけるようなゼミを目指します。自分とは背景の異なる人が、何をどの様に捉え、感じ、考えるのかを知ることは、お互いにとても刺激的な体験となります。思いがけないインスピレーションを得ることもあるでしょう。 伊豆に学ぶ-熱帯植物編-にも通底する背景 「伊豆に学ぶ」シリーズは、人と自然のつながりや、人と人のつながり、そして現代社会において見えにくい「プロセス」が見えてくる仕掛けであることを基本としている。そのコンセプトは熱帯編でも同じである。チョコレートやプリンが大好きという人は少なくないであろう。それらの原料が、カカオやバニラという植物由来であることを知っている人も少なくなかろう。しかし、それらがどういう植物なのか、実物を見たり触ったりしたことがある人はいるだろうか。実際にカカオを焙煎して、細かく挽いてカカオバターと混ぜて練ったことがある人はいるだろうか。その製造の過程で、きめ細かい温度制御が求められることを知っている人は果たしているだろうか。このゼミ中に完成させるカカオを出発材料とする手作りチョコレート(ビーントゥーバー)は、それはそれは価値あるものであることは間違いない。是非、店で売っている普通に手に入るチョコレートと食べ比べていただきたい。その体験こそが、このゼミでしかお伝えできない事だと言っても過言ではない。手作りした甲斐あって美味しいのか?をここで言及することは無意味だ。それを伊豆に来て実際に確認して欲しい。 本ゼミは農学生命科学研究科附属演習林の樹芸研究所で展開される。樹芸研究所と聞いて「樹芸」ってなんだ??と思うだろうか。「樹芸」とは樹に親しみ、樹を暮らしに役立て、樹を育むことを包含する言葉と私たちは定義している。樹芸研究所が開講する一連の体験ゼミは「人の暮らしと生態系の関わり」を基調に、「樹芸」体験を盛り込んで、学ぶということの原点を見直すことに重きを置いている。「伊豆に学ぶ―熱帯植物編―」は森林・樹木の物質生産機能に重点を置いた体験ゼミで、熱帯植物を使う樹芸体験を用意している。チョコレートやプリンやバニラアイスなど、私たちの日常生活において在り来たりになっているモノたちに焦点を当て、日頃の生活において見ようともしない・気付こうともしない、見えにくい「プロセス」を探る旅に出よう。熱帯まで足を運んでもできないことを、東大生はなんと伊豆で体験デキルのだ。 樹芸研究所と下賀茂寮のある伊豆半島南部は、シイ・カシの常緑広葉樹が優占する森林が多いのですが、かつて人の暮らしに役立てるために植えられた竹林が人の暮らしぶりの変容に従って放置され大きな問題となっています。この問題は、人間の勝手で自然を乱開発して破壊するという種類の問題ではなく、長い年月行ってきた自然への干渉の手を引いて放ったらかすという点に大きな特徴があります。 意識してみるとそういう現象は他にもたくさんあることに気付くでしょう。このゼミナールではその問題の竹林の有効利用の一つとして竹炭生産をとりあげ、竹の伐採、窯詰め、炭焼きの作業を行いながら、これらの問題の本質が何なのかを一緒に考えてみましょう。簡単に「考えてみよう」と書きましたが、考える前にまず感じられる「感性」を研く必要があるかも知れません。本ゼミでは「そこ」の部分が大切です。ただ「炭焼きを体験したことがある東大生」を育てたいわけではないのです。 伊豆ゼミの流れ 竹炭焼きの待ち時間には、樹芸研究所の森林を見てもらいます。近年大きな問題となっている獣害の現場をよく見てもらうこともゼミの重要なポイントです。山をぼんやりと歩いても何が獣害の痕跡なのか分からないかも知れません。まずは、その「分からない状態」を正しく認識することもとても重要だと考えています。モノを見る訓練をしていくとやがて心の底から「獣害ヤバイ!」と思えるようになるはずです。本ゼミでは、その様に自分が変化していくプロセスを意識的に体験できるような仕掛けがいくつも仕込んであります。 獣害問題を少し自分の問題と捉えることができるようになったところで、原因獣の対処法の一例として、原因獣を野菜などと一緒に竹炭で炙る処分法(BBQ)の実施を計画しています。BBQの燃料にする竹炭はもちろん自分で焼いた炭です。(本ゼミとは別の体験活動プログラムでは、罠を掛けてイノシシを捕獲することから始め、イノシシの命を奪い、解体・精肉し、最終的にソーセージに加工するまでの全工程を体験することができます。少しばかりディープですが、本ゼミの先にはそのような体験も用意してあります。そちらも来年度にどうぞ。) 竹林の問題と獣害の問題は異なる問題ですが、実は本質的に同根の問題と考えることもできるそんな思いを、竹炭による原因獣のBBQという妙味を楽しみながら巡らしてみるというのが、体験ゼミならではの思索と言えるでしょう。 しかめっ面をしなくたって、重大な問題を捉えたり考えたりすることができる、そんな体験を楽しんでいただきたい。 ゼミ後は、ゼミをじっくり振り返りつつ次のゼミの運営に参画する「伊豆に学ぶプラス」、より創造的に取り組む「企画系さらに伊豆に学ぶ」につなげてもらいたい。 ※このゼミは9月26日(木)18時40分~19時45分に1313教室にて行われる農学部合同説明会への参加を予定しています。 駒場での事前講義と現地講義での取り組み姿勢とレポートで合否を判定する。 志望者多数の場合、初回講義(ガイダンス)の出席者を優先する。 教科書は使用しない。/Will not use textbook 特定日に行う。/Will conduct guidance at another time 2019/9/27 6限/6th Period 11号館1102教室(9/24、27、10/3、11/27も同様)※10/3は5限 材に据えてみて初めて見えるコト 1 時間割コード 開講 伊豆に学ぶ―熱帯植物編―後編 無意識に食べてきたチョコレートを教講義題目 担当教員 所属 鴨田 重裕 下村 彰男 農学部 集中 曜限 単位 教室 対象 シラバス参照
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