1年 文科 理科 2年 文科 理科 月 1 東 慎一郎 A 総合科目 A(思想・芸術) 50012 講義題目 授業の目標概要 評価方法 教科書 ガイダンス ヨーロッパにおける科学と科学論の展開――古代から初期近代まで 本講義では,古代ギリシャから17世紀までのヨーロッパにおける自然認識の展開,およびそれに関連した科学論や学問論の諸相について理解を深める.ここで言う科学とは,自然現象についての方法的・体系的探究を広く指す.また科学論とは,そうした科学の特徴,意義,そして限界について考察する知のことである. 現代世界を理解する上で,科学のかつてない発展とその影響力の増大を考えないわけにはいかない.現代において,科学は技術と結びつき,現代世界の物質的豊かさを生み出しているが,同時に,核兵器,バイオテクノロジー,経済格差の深刻化といった問題とも深く関係している.私たちの思考自体が,科学的思考法に深く影響されているものの,現代人はともすれば専門家万能の視点に陥りがちで,独立した視点の重要性を忘れる傾向にある.科学の光と影をどのように考えればよいのかは,現代人にとって重要な問題と言えるだろう. 本講義では,こうした問題に正面から取り組むことはできない.しかし代わりに,科学について考える上での重要な前提として,科学をめぐる歴史的認識を挙げ,科学と科学論というふたつの視点から科学に対する新しい視点を形づくっていきたい. まず,近代以前の科学史に関しては,すでに分厚い研究の蓄積がある.研究の発展の中で,科学革命や科学の「パラダイム」をめぐる重要な議論も起きた.こうした研究の歴史に立脚しつつ,講義では,古代,中世,初期近代それぞれの時代に見られた,主立った学説や自然観について見てゆく.こうした学説の多くは,たしかに現代の私たちから見れば“正しい”学説には見えないが,こうした学説の盛衰を通して,現代まで通じる科学的思考が徐々に形成されたこともまた重要な事実である. 歴史理解と同時に,科学の変遷のメカニズムについても考える必要がある.科学自体は根拠を求める営みであるが,その結果生まれる学説の変遷は,自然科学の論理で理解できるわけではない.本講義では,科学の学説や研究方法と,歴史的・社会的背景の関連という問題についてもとりあげる. 本講義のふたつ目の視点は,科学論や学問論の歴史である.科学論には,科学的概念の哲学的考察も,科学的知が含意する世界観の敷衍も,また科学研究者の行動や価値観についての考察も含まれる.こうした科学論は,場合によっては知の本性について考察する倫理的議論として現れ,場合によっては人間の認識機能をめぐる哲学的議論としても現れた.ヨーロッパの知的伝統の重要な特徴として,科学や自然観の傍らで,こうした科学をめぐる議論が発展したということがある.ヨーロッパ前近代における,科学論の連続性と不連続性について,またさまざまな立場の現代的意義について考察してゆく. 【授業の目標】 ・初期近代までのヨーロッパ科学史について基本的理解を獲得し,結果として科学について,より広く,より多様な・科学の変遷の理解から,科学と歴史や社会との関連について考察できるようになる. る. 視点から考察できるようになる. ・ヨーロッパ科学論の歴史について理解を深め,現代の科学についてより多元的,批判的視点から考察できるようにな・中間考査,および定期試験を行う. 教科書は使用しない。/Will not use textbook 第一回授業日に行う。/Will conduct guidance at first time 1101 時間割コード 開講 授業科目名 科学史 担当教員 哲学・科学史 所属 曜限 教室 対象
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