2019Sシラバス
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本誌「初年次ゼミナール文科の履修について」の頁を参照のこと。 【この授業の目標・概要】 学術研究に第一に求められるものは「客観性」である。しかし、人間の思惟以前の存在を研究対象とする自然科学など以上に、人間の主観性とその産物を研究対象とする人文科学では、何によって客観性が担保されるのかが際どい問題として立ち起こってくる。ともすれば、単に広く人口に膾炙していること、何となく皆がそうだと信じ込んでいることが、客観性の根拠と誤解されることも多い。一方で、正しい科学的手続きの結果として明らかにされてきたことまでも無闇に疑うことは、研究の停滞を招くどころか、時としては思惟を「疑似科学」へと導きかねない原因にもなりうる。正しい研究の第一歩は、既存の知識がそのいずれに属するのかを正しく峻別する力である。 「日本語」という対象は、日本語話者にとっては水や空気と同等のものであり、そのために、ただ何となくそのように信じられている、という事象も多い。科学的な論証手続きが求められる「日本語学」と、場合によっては主観的な物言いが許されている「日本語論」との境界線が分かりづらいこともある。日本語について考え直すことは、そうした、研究に関する基礎的スキルを身につけるのに恰好の訓練である。受講者には、それぞれ担当する日本語に関わる既存知識を再検討する中で、(日本語という)日常不断に接する対象に対する捉え返し、先行言説の批判的再検討、新たな着眼点の発掘、研究成果を簡潔に分かりやすく伝える技法、といった諸能力の涵養も求められる。 これらは、今後、いずれの研究分野に進むに当たっても必要な、「基礎体力」となるであろう。 【学術分野】国文・漢文学 【授業形態】ディシプリン型 文献批評型 出席、報告および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 プリントを配布する。 授業中に指示をする。 書名 著者(訳者) 東京大学教養学部初年次ゼミナール文科運営委員会 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 本誌「初年次ゼミナール文科の履修について」の頁を参照のこと。 【この授業の目標・概要】 情動が私たち人間の生において、じつは中心的な役割を果たしており、理性は情動の補佐役にすぎないのではないかという問題を考察する。とくに、情動と道徳や生きる意味、価値との関係に焦点を合わせる。 【学術分野】 哲学・科学史 【授業形態】ディシプリン型 出席、報告および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 次の教科書を使用する。 書名 情動の哲学入門 著者(訳者) 信原幸弘 勁草書房 出版社 ISBN 978-4-326-15450-0 2017年刊行 その他 次の参考書を使用する。 書名 『読む、書く、考える ―東京大学初年次ゼミナール文科 共通テキスト―』 著者(訳者) 東京大学教養学部初年次ゼミナール文科運営委員会 はらわたが煮えくりかえる:情動の身体知覚説 書名 著者(訳者) J・プリンツ著(源河亨訳) 勁草書房 出版社 ISBN 978-4-326-15439-5 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 初年次ゼミナール文科 31728 金3 授業の目標・概要 【共通目標】 成績評価方法 授業のキーワード 日本語 日本語学 日本語論 客観的論証 教科書 参考書 ガイダンス 成績評価方法 授業のキーワード 情動、道徳、生きる意味、価値 教科書 参考書 ガイダンス 『読む、書く、考える ―東京大学初年次ゼミナール文科 共通テキスト―』 55 518教室 K402 時間割コード 31727 金3 授業の目標・概要 【共通目標】 曜限 講義題目 日本語の「常識」を問い直す 情動の哲学 担当教員 矢田 勉 国文・漢文学 信原 幸弘 哲学・科学史 所属 教室

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