2019Sシラバス
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水4 ―東京をテクストとして読む 本誌「初年次ゼミナール文科の履修について」の頁を参照のこと。 【この授業の目標・概要】 東京やパリといった都市は、近代以降、出版資本主義の到来とともに、創作、出版、読者・批評受容の中心地となることで、文学の首都としての地位を確立していった。出版資本主義の黎明期、勃興期を生きた作家たちは、意識的あるいは無意識的に都市を主題化することで、都市のあり様と緊密に結びついた文学を創造し、フランスでは19世紀前半から中盤に、東京では19世紀後半から20世紀前半(明治、大正期から昭和初期)に、多種多様な都市=文学が誕生する。都市の姿を写し取るようにして紡ぎ出された都市=テクストは、やがて都市そのものをも包み込み、現実の都市とは別の生を生きていくこととなる。 本演習では、19世紀フランス文学と日本近代文学の事例を参考にしながら都市と文学の関係を概観したうえで、明治維新から百年間の都市東京と密接に関わる小説、詩、エッセイなどを収めるアンソロジー『東京百年物語』(全三冊, 岩波文庫, 2018年) ――特に第二分冊の『東京百年物語2 1910-1940』を教材に、「東京」を都市=テクストとして読み解いていく。その際、テクストを狭義の文学研究の方法に従って解釈することに自足せず、文学、社会学、歴史学などを横断的に包括する都市論、出版文化史の視座から複眼的に分析し論じることを目指す。学生には、文献の読解、調査に加え、グループワーク、プレゼンテーションを通じて主体的に授業に参加してもらいたい。教室内外での学習にとどまらず、実地にフィールド調査に赴くことで見えてくるものも多くあるだろう。 【学術分野】文学・人文学 【授業形態】文献批評型 フィールド型 出席、報告および議論への貢献等の平常点と小論文とで判断する。 次の教科書を使用する。 書名 『東京百年物語2 1910-1940』 著者(訳者) ロバート キャンベル、十重田裕一、宗像和重編 出版社 岩波書店 4003121724 ISBN 次の参考書を使用する。 書名 『読む、書く、考える ―東京大学初年次ゼミナール文科 共通テキスト―』 著者(訳者) 東京大学教養学部初年次ゼミナール文科運営委員会 第1回授業日に行う。ガイダンス教室については掲示板等で告知する。 初年次ゼミナール文科 31708 授業の目標・概要 【共通目標】 成績評価方法 授業のキーワード 東京、パリ、都市、都市論、文学 教科書 参考書 ガイダンス 35 K402 時間割コード 曜限 講義題目 都市と文学 担当教員 谷本 道昭 教養教育高度化機構 所属 教室

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