2019Sシラバス
290/384

1年 文科 理科 2年 文科 理科 金 5 S 1年 文科 理科 2年 文科 理科 水 5 総合科目 E(物質・生命) 31644 31645 S 講義題目 植物医科学概論 授業の目標概要 私達は文明の急速な進歩と共に、豊かで便利かつ快適な生活を手に入れました。しかし、それと引き換えに資源の枯渇という問題に直面しています。約72億の人口は、2050年には90億を突破する勢いです。一方で食糧生産の増加率は鈍り、人口増加率の半分にも満たないのです。ところが、世界の食糧生産のうち三分の一は微生物病や害虫病、雑草害、生理病、気象害などからなる「植物病」によって失われ、特に微生物病による損失は全食糧可能生産量の12%にも達します。これは世界の飢餓人口8億人を養える量です。この危機的な状況を克服するには、植物を病気から守り、治療する研究を推進する必要があります。その重要な使命を担う学問分野が「植物医科学」です。植物医科学は21世紀になくてはならない重要な研究分野であり、植物学や医学、微生物学とも密接に関わります。 植物医科学は「植物基礎医科学」と「植物臨床医科学」の二つの側面を持ちます。植物病を防ぐには「なぜ植物は病気にかかるのか」、「なぜ病原体はある特定の植物にしかかからないのか」、「抵抗性の植物は病原体からどのようなしくみで自身を守ることができるのか」といった基本的なメカニズムを明らかにする必要があり、これらを研究する学問領域が「植物基礎医科学」です。近年急速に進展した分子生物学や細胞生物学により、今日、生命現象は分子の言葉「DNA」で語ることができるようになり、これらの疑問が分子レベルで説明できるようになりました。 一方、我が国だけで2万種類以上もある植物病を診断し、治療・予防する学問領域が「植物臨床医科学」です。この分野では、生産現場で発生する植物の病気を診断し治療する「植物医師」に当たる国家資格「植物保護士」の養成が急ピッチで進んでいます。また、「植物臨床医科学」は、「植物基礎医科学」で得られた基礎的な知見を生産現場に活かすことを目的に、植物病の診断・治療・防除・予防のための高度先端臨床技術の開発も行います。具体的には病原体の制御技術を確立し、植物病に対する抵抗性や高収量・優良形質等の機能を付加する技術の開発を目指します。 本講義では、「植物医科学」という学問領域について、基礎から最先端にわたり易しくかみ砕いて紹介し、「植物医科学入門」の講義構成を心掛けました。また、植物・微生物・昆虫の関わりについて、分子レベルの課題から有機農業、バイテク作物など社会的課題に至るまで平易に紹介し、広く普遍的な生命現象を俯瞰できる重要な学問領域であることを理解していただけるように構成しています。この分野はこれまで触れたことのない方々が多いと思います。この講義を通じて皆さんが日頃見過ごしているに違いない身近にたくさんある植物の病気に興味をもって頂き、食糧・環境問題に植物の病気が深く関わっていることを知って頂きたいと考えています。 出席並びに試験による 次の教科書を使用する。 植物医科学(上) 書名 著者(訳者) 難波成任 出版社 養賢堂 978-4842504384 ISBN 第一回授業日に行う。 講義題目 授業の目標概要 評価方法 教科書 ガイダンス 評価方法 教科書 ガイダンス 微生物のバイオテクノロジー バイオテクノロジーは、ヒト以外の生物、特に微生物が保持する特別な能力を人類のために役立てることを目的とした科学技術であり、食糧生産、環境浄化、医薬品生産などを通じて現代社会を支える重要な科学技術である。バイオテクノロジーの代表的な技術として遺伝子組換えが特に注目された時期もあったが、現在では、その発展的な技術であるゲノム編集、タンパク質工学など、さまざまな技術が複合的に用いられている。そこで、バイオテクノロジーの中身を正確に理解してもらい、それをとおして現代の科学と社会との関係を知ってもらうことを目標にする。 本講義では、バイオテクノロジーを支える主要な学問である応用微生物学に主眼を据えて、これが食糧、医薬品などの生産、開発に果たしている意義を、私たちが現在行っている研究を例に挙げつつ講義する。 試験の成績を主とする。授業後のメールも補助評価に用いる。 試験は、11人の教員が1問ずつ出題する中から、5問を選択して解答する。試験では、自分のノート、授業で配布したプリントのみ持ち込みを許可する。 詳細は、第1回授業でのガイダンスで告知する。 教科書は使用しない。 第一回授業日に行う。 288 1108教室 106教室 時間割コード 時間割コード 開講 授業科目名 微生物の科学 開講 授業科目名 植物医科学 担当教員 日高 真誠 担当教員 山次 康幸 所属 農学部 所属 農学部 曜限 曜限 教室 対象 教室 対象

元のページ  ../index.html#290

このブックを見る