2019Sシラバス
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1年 文科 理科 2年 文科 理科 水 2 総合科目 D(人間・環境) 30717 S 社会・集団・家族心理学 講義題目 授業の目標概要 本授業は主に専門領域で言えば、心理学、なかでも社会心理学領域の講義を柱とし、家族心理学を補う。社会心理学は人間関係、集団関係の心理学領域であり、三面記事的な「社会」とは異なる。人間についても、自然法則、経済法則などといった他の分野と同様、あるいは独自の形で法則性が見られ、心理学とは人間を科学的に研究・解析してその法則性を樹立する学問分野である。イメージとしては行動科学、人間科学、認知科学といった用語の方が適合するかもしれない。社会心理学分野は多岐にわたり、個人の行動分野から対人行動、自己、対人相互作用、集団過程、集合現象、家族関係など広く、本講義は全体に目配りしながら、「対人関係並びに集団における人の意識及び行動についての心の過程」、「人の態度及び行動」、「家族、集団及び文化が個人に及ぼす影響」など、「公認心理師」の社会・集団・家族の選択科目分野が学べるような講義になっている。 人間関係は誰もが一生経験し、どのような職業についても無関係であることはなく、また家族関係が拡大していく毎にその新たな必要性は日々高まっていく「一生使える学問分野」である。その内容はしかしながら単なる「人間関係のコツ、ノウハウ」のような通俗本に取り上げられているものでは決してなく、実験や調査などの実証研究を土台とした定義された専門用語によってはじめて正確に描写、記述することができるようなきわめて専門的な知識である。しかし、その専門的知識は深めるほどに個人の独創的・創造的な応用によって深く、鋭く日常と接続し、本人の技量にしたがって一生役立てていけるものである。そして重要なのはそれは自分ためだけではなく、他者のためにもなり、またそれは結局ひいては自分のためであることを利他行動の授業回において明確に示すであろう。 心理学は題材として人間を俎上に載せ、またその人間のひとりは他でもない自分自身であるだろうが、だからと言ってそれは学ばずして十分理解できるものでもなく、そのパースペクティブを獲得することがなければ場合によっては一生気づかずに過ごしてしまう実にもったいない知見を豊富に含んでいる。とりわけ進化的なパースペクティブや体内物質、遺伝についての知見などは本人で気づくには圧倒的に不可能的なアイデアであったり、鋭く実証的な科学的知見であったりする。そもそも統計解析を重視する心理学にあって、人と環境の交互作用は知見の中心であるが、人は直観的に「交互作用効果」が理解できるように頭脳がしつらえられていない。これはきわめて現代的な進展であり、そうした学問の進展は生涯学び続けなければ、どんどん古びてしまうものである。 世間で心理学や人間について誤った言説が溢れているのは人が容易に新たな知見を学習しないからであると言っていい。受講者は一生にわたってこれらの知識を現代人として更新していってほしい。そういう意味で本講義の目標はよりよい現代人になることであり、基本的な人間の性質というものへの感受性を高め、その捉え方についてより科学的なスタンスを自分自身に確立させることを目標とする。 80%テストによる。それ以外の学期途中の小課題の提出3回によって20%を評価する。 社会心理学のモデルを専門用語によって理解し、正確に説明できるかが求められる目標である。 次の教科書を使用する。 『進化と感情から解き明かす社会心理学』 書名 著者(訳者) 北村英哉・大坪庸介 有斐閣 出版社 第一回授業日に行う。 評価方法 教科書 ガイダンス 262 1323教室 時間割コード 開講 授業科目名 社会行動論 担当教員 北村 英哉 所属 心理・教育 曜限 教室 対象

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